弥生時代(読み)ヤヨイジダイ

デジタル大辞泉 「弥生時代」の意味・読み・例文・類語

やよい‐じだい〔やよひ‐〕【弥生時代】

弥生文化時代縄文時代に続き、古墳時代に先行する。約2300~2400年前から約1700年前まで。

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百科事典マイペディア 「弥生時代」の意味・わかりやすい解説

弥生時代【やよいじだい】

日本の先史時代のうち,縄文(じょうもん)時代に続く,弥生土器の使用された,ほぼ前4―後3世紀の時代をいう。この時代の文化は,朝鮮・中国の影響のもとに北九州に始まり,やがて東方に伝播して北海道を除く日本全土に広まった。水稲栽培を主体とする農耕や金属器の使用,紡織技術が始まり,半階級的存在としての共同体の首長の発生したことなどが全般的特徴。弥生時代は3期に分けられる。前期は,九州の遠賀(おんが)川流域で多く発見される有文の遠賀川式土器が,九州に発達して伊勢湾沿岸にまで伝播した時期をいう。日本種のイネが栽培され,農耕具を主とする鉄器が大陸から輸入された。また住居は水田耕作に適した低湿地に営まれ始めた。中期は,九州に無文土器が発生し,中国・四国・近畿に櫛(くし)目文土器が発達した時期をいう。青銅器生産が盛んになり,祭器・宝器として使用された。この期は,九州,櫛目文土器分布圏,東日本の各地域の地方色が明確である。後期は,櫛目文土器が九州・東日本に及び,次いで無文土器が主流となる時期をさす。鉄器が次第に普及し,金属器と併用されていた石器の数は次第に減少。部族的な小国家が出現し,より強力な国家の発生する古墳時代に発展していく。
→関連項目石庖丁骨角器青銅器青銅器時代石斧鉄器鉄器時代土井ヶ浜遺跡銅鏃銅矛土偶日本日本人木棺

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弥生時代」の意味・わかりやすい解説

弥生時代
やよいじだい

日本において縄文時代に続く時代で,弥生土器が使用された時代。鉄器や青銅器などの金属器,石包丁などの大陸系磨製石器,水稲耕作などによって特徴づけられている。その開始は前3~2世紀頃といわれ,終わりは3世紀。『漢書』や『魏志』 (→魏志倭人伝 ) によれば,弥生時代の後半には数十の国に分かれ,国王がおり,互いに争って統一国家への胎動を続けた時代でもあった (→邪馬台国 ) 。弥生遺跡は北海道を除く各地に分布し,なかでも佐賀県の吉野ヶ里遺跡著名。ほかにも原の辻遺跡土井ヶ浜遺跡唐古遺跡登呂遺跡垂柳遺跡など数多く発掘されている。 (→弥生時代人 )

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「弥生時代」の意味・わかりやすい解説

弥生時代
やよいじだい

弥生文化の時代。その時期は紀元前4、5世紀から紀元後3世紀ごろまでと考えられている。

[編集部]

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防府市歴史用語集 「弥生時代」の解説

弥生時代

 基本的には稲作農耕が始まってから、前方後円墳[ぜんぽうこうえんふん]が造られるようになるまでの期間を言います。だいたい紀元前3・4世紀から紀元後3世紀中頃までを指します。

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世界大百科事典(旧版)内の弥生時代の言及

【古代社会】より

…日本の原始・古代の社会は,採取,漁労,狩猟の社会から,水田耕作を中心とする農耕社会へと発展し,農耕社会の基盤の上に古代の文明が形成された。先土器時代と縄文時代とは採取,漁労,狩猟を中心とする労働によって営まれた時代であり,弥生時代以後は農耕を中心にする社会である。日本の原始・古代の社会は大きくはこの二つの段階にわけられ,文明や社会的な階級,国家形成は後者の段階の社会における歴史的発展の中で行われたものである。…

【新石器時代】より

…しかし,縄文時代を安易に新石器時代に扱うことは,世界史に位置づける上で混乱を招きかねない。また日本の弥生時代前半には石器がさかんに使われているので,弥生時代を新石器時代として扱う人もいる。だが弥生時代後期には石器はほぼ消滅しており,完全な鉄器時代に入っている。…

【弥生土器】より

…最近では,細別するときに加曾利B式,遠賀(おんが)川式など〈式〉をつけるほうが明快だという考えから,総称としては〈式〉を抜いて〈縄文土器〉〈弥生土器〉の名が使われる。なお近年までは,冒頭に掲げた定義とまったく逆に,〈弥生式土器〉の行われた文化・時代を弥生文化,弥生時代と呼んできた。現在もそう説明する研究者,書物は多い。…

【弥生文化】より

…鉄器,青銅器が出現して石器が消滅し,紡織が始まり,階級の成立,国家の誕生に向かって社会が胎動し始めた。弥生文化の時代,すなわち弥生時代は,縄文時代に後続して古墳時代に先行し,およそ前4世紀中ごろから後3世紀後半までを占める。弥生文化は,基本的に食料採集(食用植物・貝の採取,狩猟,漁労)に依存する縄文文化と根本的に性格を異にする一方,後続する古墳文化以降の社会とは経済的基盤を等しくする。…

※「弥生時代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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