少年事件報道(読み)しょうねんじけんほうどう(英語表記)juvenile crime reporting

知恵蔵 「少年事件報道」の解説

少年事件報道

20歳未満の者が起こしたとされる刑事事件に関する報道で、少年の保護や更生配慮した報道が行われる。特に少年法61条は、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と規定しており、報道機関もこの原則を尊重した報道を行っている。ただ、日本新聞協会の見解も、凶悪な累犯の可能性のある事件や指名手配中の犯人捜査への協力などは例外とする余地を残しており、このほか、歴史的重大事件の場合や、また近年、残虐な少年事件に際して一部のメディアが「あえて」実名報道するケースも生まれている。推知報道の範囲については少年の学校名や家庭環境の扱い方、また取材にあたっての地域や家庭、あるいは周辺の少年などに対する配慮なども課題になっている。2005年に名古屋高裁で連続リンチ殺人事件の犯人少年(当時)に死刑判決が出された際や、06年山口県で高専生の殺害容疑で指名手配中の同級生少年について、実名や顔写真の報道の適否問題となった。

(浜田純一 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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