尾奈御厨・尾奈郷(読み)おなのみくりや・おなごう

日本歴史地名大系 「尾奈御厨・尾奈郷」の解説

尾奈御厨・尾奈郷
おなのみくりや・おなごう

猪鼻いのはな湖の西岸、現三ヶ日町上尾奈・下尾奈付近に比定される。尾奈御厨は伊勢神宮領で、尾奈郷は南北朝期よりみえる。

〔尾奈御厨〕

小奈御厨とも記される。「帥記」承暦四年(一〇八〇)五月八日条と「水左記」同日条によると、同年遠江守源基清が「尾奈御厨」を停止して三〇余町の作田を刈取り、さらに隣接する浜名本神戸の田も刈取ったことで伊勢太神宮司に訴えられ、五月八日に陣定で審議されたという。これによれば、基清は「件御厨超清(起請)以後建立」を根拠に御厨停止を行っており、当御厨は寛徳二年(一〇四五)の庄園整理以後に成立していた。また前司藤原為房も一度御厨を停止したが、任期最後の年に撤回して免判を出しており、神宮側はこれを根拠に免除の理を主張したのに対し、基清側は検田を行っただけだといい、庄民の財物を奪ったり住宅を焼いたりしたことはないと反論した。当御厨についての基清の主張は認められたが、浜名本神戸田の刈取りは失錯とされ、永保二年(一〇八二)一一月一二日に基清は遠江守を罷免された(百錬抄)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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