兵粮米

山川 日本史小辞典 改訂新版 「兵粮米」の解説

兵粮米
ひょうろうまい

戦乱時の軍兵の食糧。古代令制では軍糧は自弁とされたが,場合によっては国庫から補われた。源平の争乱の頃からその調達が問題となり,平清盛は源氏蜂起の際に諸国兵粮米を課し,源義仲・源頼朝に継承され,1185年(文治元)の守護地頭設置の際,諸国の荘園公領一律に段別5升の兵粮米の賦課が認められたが,数カ月で停止され,以後は臨時の賦課となった。室町幕府は,1352年(文和元・正平7)半済(はんぜい)令を発布し,近江など諸国寺社本所領所課の半分を兵粮とし,守護などの収取を許した。これ以後守護・国人らは荘園を侵食し,兵粮米の徴収が恒常化した。戦国大名は借入などの方法でも兵粮米の調達を行い,織豊政権では蔵奉行から兵粮奉行を独立させて運営した。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「兵粮米」の意味・わかりやすい解説

兵粮米
ひょうろうまい

鎌倉室町時代,戦乱の際に必要な兵粮 (食糧) を確保するため農民に賦課した米。治承4 (1180) 年平清盛が諸国に課したのが始りで,文治1 (85) 年源頼朝は地頭に諸国の公領,荘園から反別5升の兵粮米を徴収させる勅許を得た。この勅許は翌年停止されたが,その後兵乱のたびに随時賦課され,南北朝時代には南朝,室町幕府ともその慣例を踏襲した。

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