農耕地の熟不,退転や,面積,品位,境界,作人などを調査し,正すこと。校田ともいい,中世以降は検注,検地ともいう。検田の用例としては,737年(天平9)の〈豊後国正税帳〉に〈壱度検田熟不〉とあるのが早い例と思われるが,校田はそれより早く《日本書紀》(720成立)の大化1年8月条に見える。古代では検田は諸道巡察使がその任務としたほか,班田収授法の成立にともない,班田に先だって検田が行われ,校田図が作成された。また寺社が所有の荘園の経営を行うために必要な調査を行う場合にも検田といい,その任に当たるものを校(検)田使といった。検田使の早い例としては766年(天平神護2)10月21日《越前国司解》(東南院文書)に署名した東大寺少寺主承天などの場合がある。検田の結果は検田帳あるいは検田丸帳としてまとめられ,荘園の所有と経営の基本帳簿となった。
執筆者:原 秀三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…国衙検注または国司検注の略称。古代では,国司は徴税の正確を期するためにしばしば検田使などを派遣し,管国内の公領の面積・税額・名請人(担税者)などの実情を調査させた。これが国検であり,その行為を検注,検田などと呼んだ。…
…彼らは田畠などの所在を熟知し,主として土地支配の台帳類の作成などにあたった。一国単位でなされた検田や検畠に際しては,条里坪付に詳しい彼ら図師たちが実際の検注作業を担当した。1158年(保元3)5月の山城国の一国検田では,〈検注図師〉として〈内蔵助元〉などの名がみられる。…
…もちろん,《沙汰未練書》に〈本家トハ本領主御事也〉という規定もあるように,本家と本所がほぼ同様な意味合いで使われていることをすべて否定するものではない。 本所のもつ荘務権は,本来公領(国衙領)に対する国衙の支配権=国務を分割継承した権限で,(a)検田権,(b)勧農権,(c)検断権から構成されていたと考えられている。(a)検田権は,荘園内の田畠などを検注し耕地の所有関係の再編成などを行う権利で,土地領有の体制である荘園制にとって一番基本的な権限である。…
※「検田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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