免判(読み)めんぱん

精選版 日本国語大辞典 「免判」の意味・読み・例文・類語

めん‐ぱん【免判】

  1. 〘 名詞 〙 平安、鎌倉時代国司荘園などの租税不課を認める文書を発行すること。また、その文書。申請書である解(げ)の袖に国守文章花押をすえる形のものや、また国司庁宣を発給する形のものなどがある。
    1. [初出の実例]「以国威捜取数質物、是非難知。仍牒進如件、乞衙察状、任官符、廻国議、早欲免判之」(出典:栄山寺文書‐大和国栄山寺牒・永祚二年(990)一一月二一日)

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改訂新版 世界大百科事典 「免判」の意味・わかりやすい解説

免判 (めんぱん)

平安中・後期,荘園の官物かんもつ)・雑役(ぞうやく)の免除,国使の不入などの特権を認めた国司の証判のこと。免除国判,国司免判ともいう。荘園制の展開にともなって,10世紀から11世紀にかけて,荘園領主は国司に官物免除などの申請を行う。これには解(げ)形式もみられるが,多くは〈某寺牒 当国衙〉というような牒が用いられる。それに対して守または大介が,提出された牒・解の奥に〈判……〉として,申請を認める旨の文言を書き,署判をして国印を押す。これが免除国判すなわち免判であるが,たまには独立の国符で行う場合もあり,免符といわれた。しかし12世紀になると〈某荘百姓等解 申請国裁事〉という書式百姓申状による申請が多くなる。これにともなって免判もその袖に〈下 留守所……〉というような形で行われるようになり,国印は押されなくなる。これらの免判は,いずれも提出された文書の奥または袖に加えられており,外題の一種である。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「免判」の解説

免判
めんぱん

国司免判とも。国司による認可の証判。平安中期以降,国司が中央政府から自立して国内の行政権を握ったことによって成立。国内に所領をもつ領主からの,所領の保証や官物・雑役(ぞうやく)の免除,さらに荘園の立券などの申請に対して,国司は外題(げだい)形式で認可の証判(しょうはん)を与えた。この証判を与える行為,またその文書をいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「免判」の意味・わかりやすい解説

免判
めんぱん

荘園領主が領内の田畑の官物 (かんもつ) 免除を申請した文書の奥または袖に,国司が加えた許可の証判をいう。別に国符によって免除するものを免符といった。

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世界大百科事典(旧版)内の免判の言及

【証判】より

…10世紀以降の荘園制の成立発展期には,荘園領主や在地の百姓などが,官物・雑役の免除を求める申請を行うが,国司はそれを認める旨の証判を加えて返却する。これは免除国判といわれ,免判とも称された。鎌倉時代の御家人の所領の譲与は,幕府の承認を必要としたから,はじめは下文(くだしぶみ)あるいは下知(げち)状で行われていた。…

※「免判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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