改訂新版 世界大百科事典 「尾毛」の意味・わかりやすい解説
尾毛 (びもう)
cercus
昆虫の末端体節(第10または第11腹節)の背板に生じる1対の突起をいい,腹節付属肢の変形したもので,多くの成虫や幼虫に見られる。バッタの尾毛は無節で短いが,コオロギ類のそれは長い。ゴキブリ類では多数の環節からなるものが多い。シミやイシノミ類では長くて3本あり,カゲロウ類は2~3本で,体長よりも長い。ハサミムシ類の尾毛は変形して,無節で堅い尾鋏(びきよう)となる。尾毛の形態は群や種の分類学上の特徴になっている。また,感覚器官としての機能もあり,接触刺激をはじめ空気振動や低周波の音を感受する。
執筆者:笹川 滿廣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報