日本大百科全書(ニッポニカ) 「尿道造影法」の意味・わかりやすい解説
尿道造影法
にょうどうぞうえいほう
尿道に造影剤(ヨード製剤)を入れてX線撮影を行う方法で、尿道の形状を描出する。患者を斜位に横臥(おうが)させ、尿道内に造影剤(コンレイ400やコンラキシンLなど)を30ミリリットル注入しながら撮影する。この方法により、〔1〕尿道の形、とくにその狭窄(きょうさく)の状況、〔2〕腫大(しゅだい)した前立腺(せん)の形、〔3〕膀胱頸部(ぼうこうけいぶ)の形を知ることができる。
尿道造影法がよく行われるのは男子高齢者であり、前立腺肥大症や前立腺癌(がん)の診断に用いられることが多い。このほか、静脈注射による腎盂(じんう)造影法の終了後、排泄(はいせつ)された造影剤を用いて尿道を造影する方法もあるが、影像が不明瞭(めいりょう)でかつ不確実のことが多く、あまり行われない。なお、女性で尿道造影法を必要とすることはまれである。
[大越正秋]