(1)McVary KT, Roehrborn CG, Avins AL, et al. Update on AUA guideline on the management of benign prostatic hyperplasia. J Urol. 2011; 185:1793.
(2)Madersbacher S, Alivizatos G, Nordling J, et al. EAU 2004 guidelines on assessment, therapy and follow-up of men with lower urinary tract symptoms suggestive of benign prostatic obstruction. Eur Urol. 2004 Nov; 46(5): 547-554.
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(4)阿曽佳朗,本間之夫,熊本悦明,他. 5α-reductase阻害剤MK906の前立腺肥大症に対する臨床Ⅲ相試験(第2報)-酢酸クロルマジノン徐放剤との臨床効果の同等性の検討. 泌尿器外科. 1996;9:335-342.
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(7)Yang Q, Peters TJ, Donovan JL. et al. Transurethral incision compared with transurethral resection of the prosutate for bladder outlet obstruction; a systemic review and meta-analysis of randomised controlled traials. J Urol. 2001;165:1526-1532.
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(9)Noguchi K, Harada M, Masuda M, et al. Clinical significance of interruption of therapy with allylestrenol in patients with benign prostatic hypertrophy. Int J Urol. 1998;5:466-470.
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出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
前立腺は
射精の際には、精管、
前立腺肥大症は前立腺の内側の部分が
60歳以上の人に多くみられる疾患です。30~40代ではまずみられません。
私たちの調査では、50~65歳の男性の約15%、65~80歳の男性の約25%が中等症以上の臨床症状を伴う前立腺肥大症の患者さんであることが想定されています。男性ホルモンの存在と加齢が前立腺肥大症の発生と進行に影響していることは疑いの余地のないところです。しかしながら、いくつかの仮説はありますが原因の詳細は明らかではありません。
①第1病期(
尿道の奥や
②第2病期(
前立腺腺腫が大きくなり排尿困難の程度が増すと、膀胱にたまった尿を排出しきれなくなり、残ってしまいます。これを残尿と呼びます。残尿があると細菌感染が起こりやすくなり、また膀胱内に結石ができやすくなります。出血(血尿)することもあります。過度の飲酒や冷え、長時間座りっぱなしでいること、などにより突然尿が出なくなってしまう(尿閉)ことがあります。
③第3病期(
さらに前立腺腺腫が大きくなると、
このように前立腺肥大症では尿の勢いが悪くなることに伴い、さまざまな症状が現れます。1992年に米国泌尿器科学会で提唱された国際前立腺症状スコア(表1)に基づき、いろいろな自覚症状をアンケート形式で患者さんに聞いて点数化し、病気の重症度を評価します。
①前立腺がんの除外診断
50歳以上の人で排尿障害を訴える患者さんでは、まず前立腺がんの除外診断が大切です。血液中の前立腺腫瘍マーカー(PSA)の値を測定することが重要です。肛門から指を入れて、経直腸的に前立腺を触診することもがんの鑑別診断に大切な検査です。
②前立腺肥大症の評価
a.基本的評価
全般的な健康状態の評価に加えて、
b.前立腺肥大症の重症度の判定
・国際前立腺症状スコア(IPSS)…7種類の自覚症状の強弱をそれぞれ点数化したものです。ひとつの症状につき6段階(0~5点)に点数化されています。合計点で評価します。最も症状の強い人は35点になります(表1)。
・QOLスコア…患者さんがどれほど日常生活に困っているかを7段階(0~6点)の点数により評価します(表1)。
・最大尿流量率…排尿時の尿線の勢いを調べる検査です。記録器械に接続された小用便器に排尿してもらうだけで、1秒間に最大何mlの尿が排出されたか記録されます。
・残尿量…排尿後にどのくらいの量の尿が排泄されずに残っているか、超音波で検査します。
・前立腺容積…前立腺が腫大しているか否かを超音波検査で調べます。前立腺の腫大が認められない場合は、膀胱の排尿機能の異常や
これら5つの項目から前立腺肥大症の重症度を判定します(表2)。
前立腺がんとの区別が最も大切なことです。がんの可能性が否定されれば、前立腺肥大症に対していろいろな治療法があります。症状の程度とそれによってどのくらい患者さんが困っているかにより治療方法が決定されます。日常生活上、困っていなければ治療の必要はありません。すなわち治療しないで経過を観察するのも選択肢のひとつです。
①手術
手術には大きく分けて2つの方法があります。下腹部を切開して腫大した前立腺腺腫を摘出する方法(開腹手術)と、尿道から内視鏡を挿入して前立腺腺腫を切除する方法(TURP、TUEB)があります。TURPは前立腺をかんなで削るように少しずつ内視鏡で切除します。TUEBは前立腺腺腫を一塊として内視鏡で剥離摘出します。前立腺肥大症のために、繰り返す尿閉、膀胱結石の形成、出血を繰り返す、治療困難な尿路感染、腎機能障害のいずれかを認める場合は手術をすすめます。開腹手術は大きな前立腺腺腫に対して選択されます。
手術により最大尿流量率は2~3倍になり、最も治療効果が期待できる治療法です。
<レーザー手術>
レーザー手術は術中の出血が少なく、入院期間が短い、
②薬物療法
前立腺部の尿道の圧迫を
α1ブロッカーはもともと降圧薬として使われていた薬剤から開発されました。効果がすみやかに発現しますが、立ちくらみ、射精障害などの副作用があります。アンチアンドロゲン薬は効果発現までに1~2カ月かかります。男性ホルモン値を若干低下させる作用があり、インポテンツなどの副作用があります。5α還元酵素阻害薬は男性ホルモンの活性化を阻害する薬剤で、性欲減少、勃起障害の副作用があります。しかし、いずれも安全性の高い薬剤です。
植物製剤、漢方薬は切れ味は今ひとつですが、副作用の心配はほとんどありません。
③その他の治療法
a.尿道ステント
心臓や肺の合併症のため麻酔をかけることが危険な患者さんのために、狭くなっている前立腺部尿道に筒状の形状記憶合金のメッシュ(ステント)を置いて、尿の通り道を確保する方法です。簡単に留置できますが、結石の形成、感染、出血などの合併症をみることがあります。
b.
尿閉となって手術をすすめられたがどうしても手術はいやという方や、手術が危険で不可能という場合には、やむを得ずカテーテルという管を尿道から膀胱に通します。常時カテーテルを留置する方法と、
場合によっては治療せずに経過観察でもよい病気です。自分のどのような症状をどの程度よくしてもらいたいのか、主治医とよく相談して治療方法を決めてください。しかし、まったく同じ症状でも前立腺がんのことがあるので、前立腺がんの除外診断だけは泌尿器科で受けておいてください。
なお、日常生活上の注意点は次の7点です。
・排尿をがまんしないように。
・便秘をしないように。
・適度な運動を。
・適度な水分を。
・過度のアルコールはひかえる。
・刺激の強い食事はひかえる。
・新しい薬をのむ時は医師に相談する。
野口 和美
「尿の勢いが弱い」、「排尿に時間がかかる」、「排尿後に残尿感がある」、「頻尿」などの自覚症状を「国際前立腺症状スコア」という問診票で調べ、同時に排尿障害が日常生活(生活の質:QOL)に影響する程度も調べますが、高齢者では問診内容が十分理解できないことがあるので、評価は慎重を要します。
直腸診で前立腺を触り、前立腺がんかどうかと前立腺の大きさを調べます。排尿後の残尿量を計りますが、通常は超音波装置を用いて前立腺の大きさと同時に残尿量を計測します。また尿流測定をして尿の勢いを調べます。
治療は自覚症状と「生活の質」の状態、尿の勢いの程度、残尿量、前立腺の大きさを総合的に評価して「軽症」「中等症」「重症」に分けて決めます。
「軽症」では薬物療法を選択します。「中等症」以上で手術療法が適応されます。内視鏡手術(経尿道的前立腺切除術:TURP)や開腹による前立腺摘除術が行われます。尿がまったく出ない尿閉状態や重篤な合併症で手術ができない場合は、管(カテーテル)で尿を出すようにします。長期の尿道カテーテル留置になると尿路感染や尿道出血・尿道損傷などが生じるので、カテーテル管理が重要となります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
男性の加齢とともに前立腺が肥大し、排尿障害をおこす疾患。古典的には尿道に近い内腺とよばれる部分から発生する良性の腫瘍(しゅよう)と考えられていたが、現在では前立腺の内腺とか外腺という概念は解剖学的にも生理学的にも存在せず、膀胱頸部(ぼうこうけいぶ)下腺の異常増殖症と解釈されている。病理学的にはこの部の上皮性成分が筋線維性間質の増生を伴って異常増殖する現象で、尿道を圧迫し、膀胱の頸部から内面に突出する結果、排尿困難がおこる。一方、肥大した組織塊によって正常前立腺部は外側方の被膜下に圧迫され、ほとんど認識されない程度に薄くなり、肥大組織が大きな腫瘤(しゅりゅう)に発達する。
原因は明らかにされていないが、加齢による内分泌環境、とくに男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの異常が重要な役割を演じていると理解される。このほか、過度の性生活や前立腺の充血をきたすような食生活、排尿に関する習慣など、種々の要因が関係する。
臨床的に証明されるか、あるいは自覚症状が発現するのは60歳以後に多いが、実際の病変の病理学的異常は40歳代の後半に始まり、徐々に進行している。したがって、病態の進行と自覚症状とはかならずしも並行しない。本来、欧米人に多く、東洋人には少ないとされていたが、日本でも高年齢層の増加に伴い高頻度にみられるようになった。症状としては、夜間頻尿、残尿感、尿線細小のほか、排尿しようと構えてもなかなかスタートしない遷延性排尿や、排尿が始まってもだらだらといつまでも終わらない苒延(ぜんえん)性排尿がみられる。この時期を第一期という。次に膀胱内に残尿が増し、ついに尿がたまったまま出ない状態、すなわち尿閉を繰り返す。この状態を第二期という。さらに進行すると、腎(じん)機能が障害されて第三期となり、尿毒症をおこす。
診断は前立腺癌(がん)と同様、まず直腸診による触診で肥大した腺腫を触知することである。正常では栗(くり)の実大といわれる前立腺が、鶏卵大以上に肥大する。表面は平滑で弾力性があり、硬結は触れない。圧痛はほとんどなく、腎機能に障害がある場合は腎部に叩打(こうだ)痛が出現する。
臨床検査では、残尿に尿路感染症を合併すれば白血球や細菌が証明される。ときに血尿をみることもある。血液所見では、腎機能が障害されている場合は血液尿素窒素(BUN)やクレアチニン値が上昇する。確定診断は、内視鏡(パンエンドスコープpanendoscope)を尿道より挿入し、前立腺部尿道の延長、閉塞(へいそく)の程度を観察する。超音波エコー、CTスキャンは鑑別診断のために重要である。
手術療法として、膀胱内から肥大した前立腺を摘出する恥骨上前立腺核出術、恥骨の後方から直接前立腺に達する恥骨後前立腺核出術、会陰(えいん)部を切開する会陰式前立腺核出術などが行われてきたが、もっとも普及し一般的となっている方法は経尿道的切除術(TUR)である。これは、尿道より切除鏡を挿入し、これについている電気メスによって肥大した組織を細片に切除し、これをエバキュエータ(吸引器)で体外に洗い流すものである。TURはファイバースコープの進歩などにより、きわめて安全確実な手術方法となった。冷凍手術は、肥大の部分を超低温にして壊死(えし)に陥らせ脱落させる方法であるが、適応は限られる。前立腺癌を合併する症例も少なくないが、その場合の治療は複雑となる。前立腺肥大症の治療成績はきわめて良好であるが、一般に術後は膀胱のほうに逆行性射精をおこすことが考えられる。これは内括約筋が弛緩(しかん)した状態にあるためである。
前立腺肥大症を予防する実用的方法はみいだされていない。また、肥大症に直接作用して縮小させる薬物もまだない。なお、日常生活上の注意としては、大量の飲酒、座位で長く排尿をがまんすること、冷えることは症状を悪化させる。
[田崎 寛]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
前立腺が大きくなる疾患で,良性腫瘍(腺腫)の一種である。50歳以上の高齢者に多く,典型的な老人病の一つ。一種の老化現象で,性ホルモンのバランスがくずれたために起こると考えられている。正常の前立腺はクルミ大であるが,本症では鶏卵大から大きいものではリンゴ大に達することがある。肥大した前立腺によって尿道が圧迫されるため,尿が勢いよく出なくなり,排尿開始までの時間や排尿終了までの時間が長くなる。進行すると尿が線をなして飛ばなくなり,ぽたぽたと滴下するに至る。最終的には尿が膀胱にたまっているにもかかわらず,いきんでもまったく出なくなり(尿閉),カテーテルを尿道から挿入して尿を排除しなければならなくなる(導尿)。1回の排尿で尿が完全に出きらず,一部が膀胱に残る状態を残尿と呼ぶ。残尿が存在すると1回の排尿量が減少して排尿の回数が増加する(頻尿)。また残尿があると水腎症や尿路感染症などを起こしやすい。治療は,軽症に対しては薬物療法,ある程度進行したものには手術療法が行われる。前立腺には自律神経の受容体が多量に分布し,前立腺肥大症ではこの受容体の刺激によって前立腺が収縮し,排尿困難を起こすことが明らかとなった。これに対してα受容体遮断剤を投与する薬物療法が最近広く行われている。手術療法では,内視鏡による電気切除が主流であるが,最近はレーザーや高周波による方法も行われるようになった。
執筆者:上野 精
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…組織を構成する細胞のうち,特定の細胞が種々の刺激をうけて細胞分裂をおこし,細胞数が過剰にふえるために組織や器官が大きくなること。増生ともいう。細胞増殖によるといっても,一方的に増殖をつづける腫瘍とは違って増殖には限界があり,また刺激がなくなれば組織の大きさは元にもどる可逆的反応である。過形成の原因には,作業負荷,ホルモン作用,機械的刺激などがある。また再生時の一過性のものもある。過形成を示す組織では,ほとんどすべて機能の増大を伴う。…
※「前立腺肥大症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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