山内一豊の妻(読み)やまのうちかずとよのつま

故事成語を知る辞典 「山内一豊の妻」の解説

山内一豊の妻

夫の成功を支える、賢い妻をいうことば。特に、家計のやりくりがうまい妻のたとえ。

[使用例] こういう場合になったとき、経済上の理由でわたしが動けなかったりしたら、余り情けないと思って、一豊の妻を心がけていて、ようございました[宮本百合子獄中への手紙|1945]

[由来] 「常山紀談―四」などによって伝えられる、安土桃山時代武将山内一豊の妻、けんしょういんエピソードから。一六世紀後半、山内一豊がまだ目立たない武士だったころのこと。一豊は、ある馬市ですばらしい馬を見つけましたが、値段が高すぎて買うことができません。帰宅したあとも悔しがっていると、妻が、おもむろにお金を取り出してきました。自分は貧乏だと思い込んでいた一豊が、いったいどういうお金かと尋ねると、嫁入りのときに父が持たせてくれたもので、夫にとって重要な時まで使ってはならない、と言い聞かされていたという返事。かくして目指す馬を手に入れた一豊は、織田信長が開催した馬揃えにその馬に乗って出場。信長の目に止まったことで、出世糸口をつかんだのでした。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android