常山紀談(読み)ジョウザンキダン

デジタル大辞泉 「常山紀談」の意味・読み・例文・類語

じょうざんきだん〔ジヤウザンキダン〕【常山紀談】

江戸中期の随筆。正編25巻。湯浅常山著。原形は元文4年(1739)成立完成は明和7年(1770)とされ、その後拾遺4巻と付録1巻が加えられる。戦国時代から江戸初期までの名将傑物言行を伝えた史談集。

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精選版 日本国語大辞典 「常山紀談」の意味・読み・例文・類語

じょうざんきだんジャウザン‥【常山紀談】

  1. 随筆。湯浅常山著。二五巻二五冊。他に拾遺四巻付録一巻(五冊)がある。元文四年(一七三九)成立。文化・文政頃(一八〇四‐三〇)刊。戦国時代から江戸初期までの名将、傑物の言行を伝える説話集

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改訂新版 世界大百科事典 「常山紀談」の意味・わかりやすい解説

常山紀談 (じょうざんきだん)

江戸中期の雑史。25巻,拾遺4巻,付録(雨夜灯)1巻。岡山藩士湯浅新兵衛元禎(号常山。1708-81)の編集。1739年(元文4)刊。戦国期(天文永禄)より江戸時代初期に至る間の名ある武将,戦う武士の言行,風俗,節義を伝聞異説をも記し,己の鑑戒としたものを刊行したものである。湯浅常山は幼年より史伝を好み,長じて儒学に名あり,兵学に優れ,槍剣の術を極め,寺社・町奉行等を歴任し,家老格になった人物であり,実践家として,その規範としたものであろう。異本が数種あり,版本,活字本も多い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「常山紀談」の意味・わかりやすい解説

常山紀談
じょうざんきだん

江戸中期の随筆、歴史書。正編25巻、拾遺4巻、付録『雨夜灯(あまよのともしび)』1巻、30冊。湯浅(ゆあさ)常山著。元文(げんぶん)4年(1739)の自序があり、原型はそのころにできたものと思われるが、刊行は著者没後30年ほどのち、文化・文政(ぶんかぶんせい)年間(1804~30)のことであった。戦国時代から江戸時代初頭の武士の逸話や言行700余を、諸書から任意に抄出、集大成したものといってよい。著者自らが「ここに収めた逸話は大いに教訓に資する故に、事実のみを記す」というように、内容はきわめて興味深いエピソードに富み、それが著者の人柄を反映した謹厳実直な執筆態度や、平明簡潔な文章と相まって多くの読者を集めた。

[宇田敏彦]

『『常山紀談』(岩波文庫・角川文庫・有朋堂文庫)』

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百科事典マイペディア 「常山紀談」の意味・わかりやすい解説

常山紀談【じょうざんきだん】

江戸時代の雑史随談集。湯浅常山著。本編25巻,拾遺4巻,付録(《雨夜灯(あまよのともしび)》)1巻。1739年の自序によってその年初稿が成立したとみられるが,その後約30年の間に改稿され,文政(ぶんせい)(1818年―1830年)半ばごろ刊行された。戦国時代〜江戸初期の大名や武将たちの言行を平易な仮名まじり文で記したもの。逸話(いつわ)集として質量ともにすぐれており,しばしば版を重ねた。→武功雑記

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常山紀談」の意味・わかりやすい解説

常山紀談
じょうざんきだん

江戸時代中期の軍談書。湯浅常山著。 25巻。元文4 (1739) 年成立。戦国時代から江戸時代初期にわたる約 50年間の名将諸士の言行,逸行,逸事に関する雑談を約 470条に集めたもの。文章が平明で,痛快な読み物として流布し,刊本も多い。江戸時代には6冊本,21冊本,30冊本があり,明治になってからも数種刊行された。多くは『常山紀談拾遺』 (4巻) ,付録『雨夜灯』 (1巻) がつく。史料的価値は低い。

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