翻訳|household
企業や政府と並んで、国民経済を構成する経済主体。家庭生活を営むための収入、支出の運営そのものもさす。家計の動向については、国民経済計算(内閣府)、家計調査および家計消費状況調査(総務省統計局)によって示されている。
住民基本台帳(総務省)によれば、2020年(令和2)1月1日時点では、5907万1519世帯が存在しており、1世帯当りの構成人員は2.15人である。
家計に関する統計で注目度が高いのは貯蓄率であるが、国民経済計算ベースでは1990年代以降、下落傾向にあり、2013年度にはマイナスに転じた。一方、家計調査ベースでは1990年代以降も横ばいで推移している。両者の動きの違いを生んでいるのは、(1)定義、概念の違い、(2)カバーしている家計の範囲、である。定義に関して両者は一見似ている。国民経済計算は可処分所得と年金受給権の変動調整の合計から最終消費支出を引いたものを貯蓄額としている。そして、可処分所得と年金受給権の変動調整の合計に対する貯蓄の割合を貯蓄率としている。家計調査では可処分所得から消費支出を差し引いた額(黒字)の可処分所得に対する割合で求めている(黒字率とよばれる)。ただし、たとえば、住宅ローンの返済額は国民経済計算では貯蓄額に含まれないが、家計調査では黒字額に含まれている(土地家屋借入金返済額とよばれる)という違いがある。
カバーしている家計の範囲に関しては、国民経済計算は全世帯を対象にしているのに対し、家計調査ベースでの黒字率としてよく取り上げられるのは「2人以上の世帯のうち勤労者世帯」のみを対象としているという違いがある。なお、家計調査では高齢者無職世帯の貯蓄率も別途公表されているが、貯蓄率はマイナスとなっている。つまり、この世帯では消費支出が可処分所得を上回り、貯蓄を取り崩しているのである。すなわち、高齢化が進むなかで、全世帯に占める高齢者無職世帯の比率が高まっていることが、国民経済計算と家計調査の貯蓄率の動きの違いを生んでいると考えられる。
[飯塚信夫 2020年9月17日]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
(上村協子 東京家政学院大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…日常の住居と生計をともにする生活集団のことで,〈しょたい〉と読むこともある。同一の世帯に所属する者は世帯員であり,世帯を主宰する地位にある世帯員を世帯主と呼ぶ。世帯主は,明治民法における戸主のように世帯員に対して法律上の統制力を有する者ではなく,現在の社会通念上,単にその世帯を代表する者として認められるにすぎない。世帯は通常,家族関係を中心に形成されるが,世帯員がすべて家族員から構成されるとは限らない。…
…家計の消費支出に占める食費の割合と所得水準との間で安定的に観測される経験法則をいう。その法則の発見者C.L.E.エンゲルの名にちなんでこう呼ばれる。…
…この点を少し詳しくみておこう。
[家計と企業]
ここで対象とする社会の経済的意思決定主体は家計と企業に大別される。家計は,消費に関する意思決定の主体であると同時に,労働力,資本,土地という生産要素の所有者として,それら生産要素のサービス(以下では単に生産要素と略記)をどれだけ供給すべきかを決定する主体でもある。…
…生産活動を継続して営む経済単位を企業という。国民経済は,この企業とともに家計・財政という個別経済によって構成されている。家計は消費生活を営む経済単位であり,財政は行政目的を実現するために消費活動を営む経済単位である(図1)。…
※「家計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新