日本歴史地名大系 「山梨郡」の解説
山梨郡
やまなしぐん
- 山梨県:甲斐国
- 山梨郡
〔古代〕
古代の郡域には現東八代郡一宮・金青袋に「
一匹 和銅七年十月」とある墨書銘で、これが現在のところ甲斐の郡名の初見でもある。当郡に関する史料は比較的多く残され、平城宮跡からも関係木簡が出土している。たとえば昭和三六年(一九六一)二月奈良平城宮の大膳職跡と推定される場所から「甲斐山梨郡雑役胡桃子一古」(表)、「天平宝字六年十月」(裏)と墨書した木簡二点が発見された。天平宝字六年(七六二)一〇月山梨郡より雑役として平城宮へ送られた胡桃に付けられた荷札である。「雑役」という税目は従来の史料にみえないので注目を受けたが、「延喜式」民部省に甲斐国の「年料別貢雑物」の一つとしてみえる「胡桃子一石五斗」がそれに該当するかと思われる。また平城宮跡出土木簡には「
一匹を貢進したちょうど半世紀後に、同郷の人丈部宇万呂が都へ徴発されて衛士か仕丁を勤めていたことが知られる。この木簡は宇万呂の元へ国元から送られてきた養銭(生活費の銭)に付けられた荷札である。
令制の中郡で「和名抄」による管郷は全部で一〇郷。うち
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報