日本歴史地名大系 「島越浦」の解説 島越浦しまのこしうら 岩手県:下閉伊郡田野畑村浜岩泉村島越浦[現在地名]田野畑村 島越松前(まつまえ)沢の河口に立地。東海岸村々里数等覚(盛岡市中央公民館蔵)に家数一九・人数一〇三、与板船二・丸木船四とある。鱈・鰹・鯣などの沖漁をはじめ、地先漁業では天明五年(一七八五)鰯地引網漁、文化四年(一八〇七)にはかれい網漁、翌五年には鮪立網漁などが行われた。文政一二年(一八二九)には鮭立網漁の一ヵ年の礼金二〇両、役鮭三五〇本が定められ支配人が二名任命されている。海辺では製塩と鮑漁が行われ、とくに鮑の産出量は多く、羅賀(らが)浦などとともに熨斗剪出御運上場所五ヵ浦の一つになっていた。漁港であると同時に浜岩泉村唯一の浦として海産物の移出や野田(のだ)通代官所(現久慈市)管轄下の山中で産出された鉄の積出しを行う港でもあり、享保一九年(一七三四)には弁財船によって野田代官所三沢(みさわ)鉄山より採掘した延鉄一千八〇〇箇・二万二千五〇〇貫目が積出されている。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報