崢嶸(読み)そうこう

精選版 日本国語大辞典 「崢嶸」の意味・読み・例文・類語

そう‐こう サウクヮウ【崢嶸】

〘名〙 (形動タリ)
① 山などが高くけわしいさま。
経国集(827)一四・奉和清涼殿画壁山水歌〈菅原清公〉「崢嶸険澗雁字連、三江淼々尋間近」
草枕(1906)〈夏目漱石〉一三「見上げる半空には崢嶸たる一峯が半腹から微かに春の雲を吐いて居る」 〔司馬相如‐上林賦〕
歳月の積み重なるさま。
※宝覚真空禅師録(1346)坤・与月山記室「銘佩良深、即日歳月崢嶸、氷雪載道」 〔鮑照‐舞鶴賦〕
人生のけわしいこと。また、そのさま。
※近来流行の政治小説を評す(1887)〈徳富蘇峰〉二「人情反覆せる世路崢嶸の中にて」
④ 深遠なさま。深いさま。
※淡窓詩話(19C中)下「杜の諸将五首、議論崢嶸、而して理屈に陥らず」 〔揚雄‐甘泉賦〕
⑤ 寒さのきびしいさま。
※柳北詩鈔(1894)二・九月二十日率兵馬発太田営帰江城有感而賦「今日捄築功已峻、牙帳轅門気崢嶸」 〔羅隠‐雪霽詩〕
⑥ 才能の優れているさま。〔杜荀鶴‐送李鐔遊新安詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「崢嶸」の意味・読み・例文・類語

そう‐こう〔サウクワウ〕【××嶸】

[名]
山や谷のけわしさ。
「険は―を排するに似たり」〈東海散士佳人之奇遇
人生のけわしさ。
「人情反覆せる世路―の中にて」〈蘇峰・近来流行の政治小説を評す〉
[ト・タル][文][形動タリ]山などが、高くけわしいさま。
「―たる一峯が」〈漱石草枕

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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