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草枕 くさまくら

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

草枕
くさまくら

夏目漱石中編小説。 1906年発表。「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される」人の世の住みにくさを嫌って,非人情境地を追う青年画家と才知あふれる女性との出会いを叙して,そこに浪漫美の世界を見出していく。作者の芸術観を提示した小説で,『坊つちやん』と並ぶ初期の代表作

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デジタル大辞泉の解説

くさ‐まくら【草枕】

[名]《旅先で、草で仮に編んだ枕の意から》旅寝すること。旅先でのわびしい宿り。くさのまくら。
「衣うつ音を聞くにぞ知られぬる里遠からぬ―とは」〈千載・秋下〉
[枕]
「旅」「旅寝」および同音の「度(たび)」にかかる。
「―旅にしあれば」〈・一四二〉
《草の枕を「ゆふ」意から》「結ふ」および同音の「夕(ゆふ)」などにかかる。
「―夕風寒くなりにけり衣うつなる宿やからまし」〈新古今・羇旅〉
地名の「多胡(たご)」にかかる。
「―多胡の入野の奥もかなしも」〈・三四〇三〉
[補説]3については、頭音が「旅」と同じ「た」であるところからとする説がある。書名別項。→草枕

くさまくら【草枕】[書名]

夏目漱石の小説。明治39年(1906)発表。旅に出た青年画家を主人公に、非人情の境地を描く。

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百科事典マイペディアの解説

草枕【くさまくら】

夏目漱石の短編小説。1906年《新小説》に発表。ある青年画家が温泉場才気すぐれた女性に会い,その女性との交渉に山里の情景をからませたもの。あざやかな自然描写と東洋的な人生観,芸術観が示されている。余裕派を標榜(ひょうぼう)した漱石の初期代表作の一つ。

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大辞林 第三版の解説

くさまくら【草枕】

( 名 )
〔草を束ねた仮の枕、の意から〕 旅。旅寝。くさのまくら。笹ささ枕。 「朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬる-かな/古今 離別
( 枕詞 )
「旅」「結う」と同音の「夕」などにかかる。 「家にあれば笥に盛る飯を-旅にしあれば椎の葉に盛る/万葉集 142

くさまくら【草枕】

小説。夏目漱石作。1906年(明治39)発表。主人公の画工となぞめいた女性との交流を軸に、非人情の出世間的な芸術論を述べる。俳句的小説。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

草枕
くさまくら

夏目漱石(そうせき)の中編小説。1906年(明治39)9月『新小説』に発表、07年1月刊の短編集『鶉籠(うずらかご)』に収める。作者自身、「美を生命とする俳句的小説で……美しい感じが読者の頭に残りさへすればよい」(「余が『草枕』」)と説くように、ロマンチシズムの傾向を濃くとどめた初期の芸術観を具体化した作品。「智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地(いじ)を通せば窮屈だ」との書き出しはとくに有名である。とかく住みにくい人の世の煩いを逃れ、芸術のための桃源郷を求めて熊本郊外の温泉を訪れた画工が、宿の美しい娘那美(なみ)の妖(あや)しい言動に驚かされるというのが発端。那美は出戻りで、不羈奔放(ふきほんぽう)な魅力に富む女性だが、彼女を画中の人にしようとする画工の苦心を通じて、人の世はものの「見様(みよう)」でどうにでもなる、俗塵(ぞくじん)を離れた心持ちになれる詩こそ真の芸術だという独自の文学観、いわゆる非人情の美学が語られる。しかし、この文学観はのちに作者によって否定された。[三好行雄]
『『草枕』(岩波文庫・旺文社文庫・講談社文庫・新潮文庫) ▽越智治雄著『漱石私論』(1971・角川書店)』

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