朝日日本歴史人物事典 「巨勢有久」の解説
巨勢有久
鎌倉末期から南北朝期にかけての巨勢派の絵師。壱岐守。巨勢派系図では有行の子で行忠の父とされるが,初代巨勢金岡以来の正系を継ぐものかどうかは未詳。宮廷絵所絵師,系図には従五位下,采女正の位官を受けたとある。正中2(1325)年東寺大仏師職に補任,東寺西院の「両界曼荼羅」を描いた(1334)。ほかには山門の「尊勝印陀羅尼本尊」制作(1344)の記録などが散見されるのみで,作品は現存しない。<参考文献>谷信一『室町時代美術史論』
(相澤正彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報