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絵仏師 えぶっし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

絵仏師
えぶっし

仏教絵画を専門とする画工。密教の尊像や曼荼羅など厳密な図像的知識を必要とする仏教絵画の需要の高まりとともに,世俗的な絵画一般の制作に従う絵師とは区別されるようになった。一般化したのは平安時代後期以降で,治暦4 (1068) 年絵仏師教禅が法橋に叙されたのを文献上の初例とし,以後鎌倉時代にかけて,応源定智智順,勝賀などの多くの名手が現れた。俗人で形式的に僧となり,その制作の功によって法橋,法眼法印などの僧位が贈られた。僧侶で教義にすぐれ,本格的な仏教絵画を描いた者を画僧と呼び,珍海覚猷玄証などが著名。

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デジタル大辞泉の解説

え‐ぶっし〔ヱ‐〕【絵仏師】

寺院の絵所に属し、仏教絵画の制作、仏像の彩色を職業とした者。平安時代に始まり、僧籍にあって、鎌倉中期までは僧位が与えられていた。京の宅磨(たくま)派・奈良の巨勢(こせ)派など。

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百科事典マイペディアの解説

絵仏師【えぶっし】

仏像彫刻を職とした仏師,木仏師に対して,仏教絵画を専門とし,僧籍をもった画家をいう。平安時代密教の伝来を契機として寺院を中心に成長したもので,制作の功によって法印(ほういん),法眼(ほうげん),法橋(ほっきょう)などの僧位が贈られた。
→関連項目巨勢派宅磨派奈良絵本仏師

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世界大百科事典 第2版の解説

えぶっし【絵仏師】

平安時代の中期以降,僧籍にあって,主として仏教絵画の制作や仏像の彩色などに従事した専門画家。8世紀の官営工房が解体した直後の平安前期に,仏教美術の制作に携わった画工の実態はなおつまびらかでない。しかし,当時の主要寺院にのこる資財記録から,仏教絵画の旺盛な需要を背景に,それら寺院が専従の画工を必要としたことは容易に推測できる。平安中期には,これらの画工は仏師と記される。945年(天慶8)に浄土図を描いた定豊,1000年(長保2)に五大尊画像を制作した平慶などは共に仏師と呼ばれ,明らかに当時の世俗の画工や絵師とは区別された。

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大辞林 第三版の解説

えぶっし【絵仏師】

僧籍にあって大寺院の絵所に属し、仏画や寺院の装飾などに専門に従事した画家。平安中期から鎌倉時代にかけて活躍し、宅磨たくま派・巨勢こせ派などが知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

絵仏師
えぶっし

僧籍に属して、おもに仏画の制作にあたった画家。画技に長じていても作画を専業としない画僧とは区別される。平安時代に入り密教や浄土教の信仰が高まるにつれて仏画の需要が増大し、その制作を専門とする画師が現れた。鎌倉時代には興福寺などの大社寺は画所を置き絵仏師を抱えた。また宅間勝賀(たくましょうが)は東寺の専属の絵仏師に任じられたことが知られている。室町時代になり仏画の需要が減ると、物語絵や御伽草子(おとぎぞうし)の挿絵などの世俗画も量産した。なお、仏像彫刻を専門としたものは仏師(木仏師)とよばれる。[加藤悦子]

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世界大百科事典内の絵仏師の言及

【画師(絵師)】より

…しかし,9世紀末から宮廷内に絵所(えどころ)が設けられると,画技の優劣によって選抜された巧匠がその職に任ぜられた。この個人的技量によって選ばれた工匠は,やがて,11世紀に公認された僧籍の絵仏師と身分や役割が区別されて,一般に〈絵師〉とよばれた。12世紀以降,絵所出仕の絵師は従来の八位から五位へと昇進し,絵所の預(あずかり)に就任して中級官人の待遇をうけた。…

【仏師】より

…平安時代に入って官の造寺造仏が減少すると,各有力寺院が造仏所を持ち,工人を抱えることになった。またこのころには絵師のうちで絵にかいた仏像,現在でいう仏画を描く工匠が絵仏師といわれたのに対し,このころの彫刻が木で造られることが多かったので木仏師とも呼ばれている。また荘厳具(しようごんぐ)の製作に当たる工人は餝(かざり)仏師と呼ばれた。…

※「絵仏師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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