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曼荼羅 まんだら

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

曼荼羅
まんだら

曼陀羅とも書き,サンスクリット語 maṇḍalaの音写で円板,円輪の意。壇,輪円具足などと訳す。密教の修法のため,本尊を中心としてこれと関連のある諸尊や守護などを,方形や円形の区画の中に,定められた方式に従って整然と配置して描いた図。

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デジタル大辞泉の解説

まんだら【××荼羅/××陀羅】

《〈梵〉maṇḍalaの音写。本質を有するものの意》仏語。密教で、悟りの境地である宇宙の真理を表す方法として、仏・菩薩(ぼさつ)などを体系的に配列して図示したもの。胎蔵界曼荼羅金剛界曼荼羅四種曼荼羅などがある。転じて、浄土の姿を図示したものなどにもいう。

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百科事典マイペディアの解説

曼荼羅【まんだら】

サンスクリットのマンダラmandalaの音訳で,〈曼陀羅〉とも記す。壇,道場,円輪具足,聚集(しゅうじゅう)などと訳される。本来の意味は仏の本質であるが,日本・中国では仏・菩薩が集まり充満しているさまを図示した形像(ぎょうぞう)曼荼羅をさしていう。
→関連項目安楽庵策伝絵解き杉浦康平智光曼荼羅不動明王別尊雑記曼陀羅寺密教密教美術

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占い用語集の解説

曼荼羅

仏の悟りの世界をあらわした密教独自の図。諸尊の集まった姿が図式的、幾何学的に描かれているのが特徴。

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世界大百科事典 第2版の解説

まんだら【曼荼羅】

サンスクリットのマンダラmaṇḍalaを音訳したもので,曼陀羅とも書く。語基のmaṇḍaは〈心髄〉〈本質〉を意味し,接尾語のlaは〈得る〉の意味を有する。したがって曼荼羅は本来〈本質を得る〉という意である。本質を得るとは,仏の無上正等覚という最高の悟りを得ることであり,この真理を表現したのが曼荼羅であるとし,これは円輪のように過不足なく充実した境地であるため,円輪具足とも訳される。曼荼羅はまた悟りを得た場所,さらには道場を意味し,道場には壇を設けて如来や菩薩が集まるところから,壇や集合の意味を生ずる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

曼荼羅
まんだら

曼荼羅はサンスクリット語でmandalaといい、本質、心髄、醍醐(だいご)を意味するマンダmaaと所有を表す接尾辞ラlaを合成した語である。過去受動分詞の完了を示すので、「本質を所有するもの」「本質を図示・図解するもの」の意である。仏教では、旧訳(くやく)で壇(だん)、新訳で輪円具足(りんえんぐそく)、聚集(しゅうじゅう)と訳す。
 マンダラは、密教の法具の中心で仏画のジャンルに入るが、元来日本でつくられたものではなく、空海が中国から経典などとともに持ち帰った請来(しょうらい)品である。漢文で「曼荼羅」「曼陀羅」などと音訳する。用途の方法、目的によって分類すると、大きく両界(りょうがい)曼荼羅と別尊(べっそん)曼荼羅に分けられる。ただし浄土教絵画の浄土変相図も曼荼羅と呼称する。
 また、宇宙の現象および形相論的説明として曼荼羅の表現を4種に分ける。すなわち、大(だい)曼荼羅、三昧耶(さんまや)曼荼羅、法(ほう)曼荼羅、羯磨(かつま)曼荼羅で、略して「大・三・法・羯」といい、四(し)曼荼羅という。空海の所説であるが、根拠は『大日経(だいにちきょう)』本尊三昧品(さんまいぼん)にある。
(1)大曼荼羅 マハー・マンダラmaha-maala。宇宙の全体を諸仏諸菩薩(ぼさつ)と見立て(六大の当体として表現)五大の色を与えられて表現した絵画、彫刻、工芸品の類をいう。
(2)三昧耶曼荼羅 サマヤ・マンダラsamaya-maala。諸尊の所持する種々の器具は仏の本誓(ほんぜ)を表すものであるから、その刀剣、輪宝(りんぽう)、蓮華(れんげ)などの器具のみをシンボルとして表現する。
(3)法曼荼羅 ダルマ・マンダラdharma-maalaは諸尊を種子(しゅじ)(梵字(ぼんじ))、真言(しんごん)の文字で表す。
(4)羯磨曼荼羅 カルマ・マンダラkarma-maala。宇宙の動きを実在の象徴的表現とみなし、立体的に諸尊を木造、銅造(鉄も)塑像などで表現する。[真鍋俊照]

両界曼荼羅

密教の両界曼荼羅は、いずれも大幅(縦・横1メートルから3メートル余)で、金堂あるいは灌頂堂(かんじょう)という比較的大きい建物の内部(内陣)に安置される。これにも2種あり、掛幅(かけふく)用と壇上に敷く敷(しき)曼荼羅に分けられる。今日では真言宗の寺院ならどんな小さなところでも、曼荼羅の1、2本はかならず常備しているのが通例である。正面に向かって右、東側に掛けるのを胎蔵界(たいぞうかい)(正しくは胎蔵)曼荼羅という。これは『大日経』を所依として図解したもので、女性的原理に基づく理の世界、あるいは物質的な世界観を表す。同じく向かって左、西側に掛けるのを金剛界(こんごうかい)曼荼羅といい、『金剛頂経』を所依として図解し、男性的原理に基づく智(ち)の世界、あるいは精神的な世界観を表す。
 両者に添える壇は、おのおの別々に設けられており、堂全体の構想としては両方の真ん中に不二壇(ふにだん)を配置する。この中央の仲立ちによって、東の理の働き(機能)と西の智の働き(機能)はもともと「一つ」(二而不二(ににふに))にほかならない、と理論を組み立てるのである。考えてみれば、この世のあらゆる存在には、異なる二つの対立概念が働き合っており、その片方だけでは単独で成り立たない。曼荼羅の両界すなわち「理」と「智」も、その徳(働き)において表裏一体の関係にある。人間がこの世に生きながら仏になれると説く密教の最高の悟りの境地、つまり即身成仏(じょうぶつ)も、この胎蔵界と金剛界(胎金(たいこん)あるいは金胎(こんたい)両部と略称する)が融合していることによって可能になるという。その意味において両界曼荼羅は絶対的な価値を有する。胎蔵界と金剛界の画面は、えもいわれぬ深い調和に満ち美しく均整のとれた世界を画面上につくりだしている。その超絶的な美しさは、いってみれば、人間(男と女)の健康な肉体に宿る美しさにも似ている。さらにいえば、人間の身体ばかりでなく、生きとし生ける「もの」すべてを曼荼羅とみてみられないことはない。[真鍋俊照]
胎蔵曼荼羅
胎蔵曼荼羅は『大日経』所説のもので、十二大院のグループから構成されている。仏像は曼荼羅内に合計410尊を描いている。十二大院の構成は次のとおりである。
〔1〕中台八葉院(ちゅうだいはちよういん) 画面の中央にあり、中心には蓮台(れんだい)の上に大日如来(にょらい)を大きく描く。八葉の赤い蓮華の花びらの上には四方四仏と四隅に四菩薩を配置している。ベースになっている八葉の蓮弁は、古代インドの医学書によると八弁の肉団心(にくだんしん)とよばれ、だれもがもっている心臓を表している。そのように、衆生(しゅじょう)(だれでも)が現実のこの世において仏の世界に置き換えられるような舞台である。その八方に広がる八弁は、周辺の十一院に血を通わせる出発点である。ここの目的は、力が働き合い、引っ張り合う加持(かじ)相応の宗教的な覚醒(かくせい)を得る場所である。
〔2〕遍智院(へんちいん) 中央のすぐ上にあり、大日如来が生仏(いきぼとけ)であるならば、その頭脳ともいうべき知慧(ちえ)を活用させるところである。ここには一切如来智印(いっさいにょらいちいん)(一切遍智印)とよぶ三角形と「まんじ」(卍)のシンボルが表現されている。このシンボルは理性を表し、人間の認識能力を内に秘めている。
〔3〕蓮華部院(れんげぶいん)(観音(かんのん)院) 観音菩薩のグループで、遍智院まで築き上げてきた頭脳的な知慧を感性の方面から慈悲によって高めてゆく場所。
〔4〕金剛部院(こんごうぶいん) 蓮華部院に対し知性の方面からさらにはぐくみ、迷いを断ち、優れた智慧を働かせるコントロール部門。
〔5〕五大院 蓮華部院と金剛部院の大悲および知慧を統一する働きをもつ。したがって不動明王などの真言(マントラ)を唱えて実際に苦しい修行をする。
〔6〕釈迦院(しゃかいん) 大日如来の変化(へんげ)した姿として釈迦が登場、仮の主役として法を説いてゆく。
〔7〕地蔵院 蓮華部院の左隣にあり、その機能も大いに関連する。つまり観音の慈悲に徹して、身を六道(地獄・餓鬼(がき)・畜生(ちくしょう)・修羅(しゅら)・人間・天上)に置き、迷う人々を救済する役割を果たす。
〔8〕虚空蔵院(こくうぞういん) 虚空菩薩の福徳(幸福と利益)の願いを実現する世界。
〔9〕除蓋障院(じょがいしょういん) 金剛部院の右隣にあり、煩悩(ぼんのう)を取り除く作用をもつ。
〔10〕文殊院(もんじゅいん) 文殊菩薩の知慧を表し、人間の認識作用をもっとも高いレベルにまで仕上げてゆく。
〔11〕蘇悉地院(そしつじいん) 虚空蔵院の下にあり、人間を「悟り」の境地に案内するパイロットの役目をもつ。
〔12〕外金剛部院(げこんごうぶいん) 最外院(さいげいん)ともいい、六道の輪廻(りんね)(移り変わっても永久に滅びない)のすべての姿、状況がうつし出されている。これと中心の完成された大日如来とは、価値観において終局的に等しいということを説明し示唆する場面を描く。[真鍋俊照]
金剛界曼荼羅
金剛界曼荼羅は、『金剛頂経』所説のもので、画面を九会(くえ)とよび、九つに区画されたグループから構成されている。仏像と三昧耶形(さんまやぎょう)とよぶシンボルが描かれ、合計1461尊ある。胎蔵より画面・構成図は整然と区分され、シンプルである。以下、九つのセクションを、曼荼羅を観想(かんそう)する順にみてゆくことにする。
〔1〕成身会(じょうじんね) 羯磨会(かつまえ)ともいい、すべて(この世)の活動の中心となる。主役は縦・横に描かれた相互供養(くよう)の仏など37尊。
〔2〕三昧耶会(さんまやえ) 宝塔や金剛杵(こんごうしょ)などのシンボルのみで表現し、人間と仏と交感することを教える場所。
〔3〕微細会(みさいえ) 仏を金剛杵の中に描き、人間が瞑想(めいそう)しながら曼荼羅の内部に入ってゆくことを示す。
〔4〕供養会(くようえ) 大日如来と四方の仏たちと相互供養するようすを描き、その意義を教える。
〔5〕四印会(しいんね)
〔6〕一印会(いちいんね) 四方四仏が一体であることを示しながら、即身成仏を目ざす。
〔7〕理趣会(りしゅえ)
〔8〕降三世羯磨会(ごうさんぜかつまえ)
〔9〕降三世三昧耶会 欲だとか愛だとかの感情をむしろ生かして、煩悩を抑え、逆に「煩悩即菩提(ぼだい)」の境地に到達して、密教の如来という独自の理想像を完成する場所。
 真言密教の儀式では、曼荼羅を眼前に掛け、前方に壇を設けて修法を行う。その儀式には、方位、所作、法具、それに声明(しょうみょう)などの音楽が伴う。儀式を儀式を行う内陣の空間には、音声と香りと目から入る五彩絢爛(けんらん)な「彩色」の融合の美しさが提示されるのである。わが国の古代の人々は、この立体的な曼荼羅に修法の演出が加味された儀式の荘厳なさまに陶酔したに違いない。密教でいう修行とは、まさに曼荼羅の世界の中に入ることである。それは、色彩の中に、音声の中に、所作、動作の中に、さらに、においの中にも自分自身が入り込むことである。[真鍋俊照]

別尊曼荼羅

別尊曼荼羅は、密教の数多くの現世利益(げんぜりやく)に基づいて製作された個別の尊像曼荼羅で、祈祷(きとう)・修法を行う別尊法の本尊である。仏部、菩薩、明王、天部や経法(きょうぼう)に区分けされて、数多くの曼荼羅が現存する。中央に礼拝者の祈願にかなう本尊(例、一字金輪仏頂(いちじきんりんぶっちょう))配置し、周囲に七宝(しっぽう)が描かれる。同時に一字金輪法を行じ、この別尊曼荼羅の前で公家(くげ)、縁者一族などが止雨、除病、延寿を祈った。
 別尊曼荼羅の現存する平安・鎌倉時代の作例は両界曼荼羅より比較的多く、伝釈迦曼荼羅図、虚空蔵曼荼羅図、仏眼曼荼羅図、尊勝曼荼羅図、一字金輪曼荼羅図、法華(ほっけ)曼荼羅図、童子経曼荼羅図、宝楼閣曼荼羅図、仁王経曼荼羅図、弥勒(みろく)曼荼羅図、八字文殊曼荼羅図、愛染(あいぜん)曼荼羅図、星(ほし)曼荼羅図、吉祥天曼荼羅、閻魔天(えんまてん)曼荼羅図、十二曼荼羅図などがある。[真鍋俊照]

チベットの曼荼羅

両界曼荼羅の原本となった『大日経』は7巻の漢訳が伝えられているが、サンスクリット本(未発見)は7世紀中ごろまたはそれ以前に北インドの地方で成立したと考えられている。『金剛頂経』は十八会十万頌あったうち初回のみが漢訳等で伝えられ、サンスクリット本(一部分発見)は7世紀後半に中・南インドで成立したという。チベットの曼荼羅は前述の金剛頂経系のものが大部分で、その古様の形式が西チベット(ラダック)に伝存している。様式的に〔1〕所作(しょさ)タントラ、〔2〕修行タントラ、〔3〕瑜迦(ゆが)タントラ、〔4〕無上瑜迦タントラの分類に基づく曼荼羅が考えられる。しかし、〔1〕は作壇法(さだんほう)など、〔2〕は『大日経』でともにほとんどない。〔3〕の中心が金剛界曼荼羅で、アルチ村(西チベットのレーGleの西)にあるゲールック派のアルチ・ゴンパ三層堂に13壁画の彩色画で残っている(時代は13~15世紀ころ)。ほかにラダックには悪趣清浄、一切智(いっさいち)大日、釈迦、般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)の曼荼羅がある。〔4〕は父(ふ)タントラ系の曼荼羅で、中尊は明妃(みょうひ)(配偶神)を伴う。母(も)タントラ系では法身普賢(ほっしんふげん)、持金剛、ヘーバジラHevajira、サンバラSavara、バジラバーラーヒーVajrvrahの曼荼羅がある。ほかに不二(ふに)タントラ系の曼荼羅も若干、伝存する。これらのものは壁画もあるが、大部分はタンカ(画軸)の形式で泥絵の具で描かれる。しかし、近年、良質の作品は国外に流出したものも多い。画法はインド様式、カシュミール・グゲ様式、中央アジア様式、中国カム(康)様式、チベット様式に区分される。なお高度な技術を要する立体曼荼羅(ルーラン・キンコルblos bsla dkyil khor)も若干現存するが、これは仏塔形式(チューテン)のもので、観想するものが大宇宙の真理と巨大な仏身とみなすチベット曼荼羅のシンボルである。[真鍋俊照]

その他の曼荼羅

曼荼羅の形態は種々あり、有名なジャワの仏跡ボロブドゥールも、普賢金剛薩(ふげんこんごうさった)の立体曼荼羅であり、仏塔のチャイトヤCaityaであり、法界曼荼羅などの解釈がある。さらに曼荼羅の世界観をインドの宗教的意識として具現した図示・立体的な形態(工芸品)ではヒンドゥー教タントラでも用いられている。とくにヤントラyantraは、チャクラcakraともいい、宇宙の真実の相と心の相を組み合わせたもので、曼荼羅の輪円具足の趣(おもむき)に近似する。[真鍋俊照]

曼荼羅と現代

曼荼羅は宇宙的次元に位置づけることにより、インド古来より大宇宙macrocosmosに対し自性(人)を小宇宙microcosmosにあてる。自性は限りない活動のエネルギーの源点であり、その力の発する状況から、曼荼羅の舞台として大宇宙と小宇宙が成り立っている。その相対的な曼荼羅の位置づけは「法身大日のイデアの世界(自性曼荼羅)であるとともに、われわれ実践者ないし認識主体の立場からみれば、それはあくまでもわれわれ自身のミクロ・コスモス(観想曼荼羅)であり、現象のシェーマ(形像曼荼羅)なのである。」(金岡秀友説)とみなすことができるという。しかも近年の研究では、密教の認識論のなかで曼荼羅の本質的な理論を、コンピュータ・グラフィクスを使いながら曼荼羅の哲学的レベルをさらに引き上げ、具現化し実践しようとする動きもある。
 また、現代における曼荼羅への関心は、空海の著作等の密教ブームのなかでひとり歩きする傾向がみられ、さまざまな分野で語義のイメージ展開が行なわれている。とくに物質と精神の両面を結び付ける用具の役割も果たしている。その応用例をあげると、曼荼羅を素材にしたブックデザイン(杉浦康平ほか)がある。また現代のマインドミュージックなど音楽作品にシンセサイザーを使い宇宙空間を曼荼羅理論によって作曲したものも多い。(黛敏郎(まゆずみとしろう)、喜多郎(きたろう)ほか)。現代絵画では曼荼羅の型、彩色、構造などを作画のなかに展開している(前田常作ほか)。このほか演劇(前衛的なもの)、舞踏、ファッション、映画(実相寺昭雄ほか)、いけ花(松月堂古流の一部)、ビデオアート、メディテーションに影響を与えている。[真鍋俊照]
『真鍋俊照著『密教曼荼羅の研究』(1970・美術出版社) ▽真鍋俊照著『曼荼羅美の世界』(1980・人文書院) ▽真鍋俊照著『曼荼羅の美術』(1981・小学館) ▽石田尚豊著『曼荼羅の研究』(1975・東京美術) ▽濱田隆著『曼荼羅の世界』(1979・美術出版社) ▽松長有慶著『マンダラ』(1981・毎日新聞社) ▽栂尾祥雲著『曼荼羅の研究』(1982・高野山大学密教文化研究所) ▽頼富本宏著『マンダラの仏たち』(1985・東京美術) ▽立川武蔵著『曼荼羅の神々』(1987・ありな書房) ▽田中公昭著『曼荼羅イコノロジー』(1987・平河出版社) ▽金岡秀友著『密教の哲学』(1989・平楽寺書店) ▽小峰彌彦著『図解・曼荼羅の見方』(1997・大法輪閣) ▽田中公明著『両界曼荼羅の誕生』(2004・春秋社)』

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世界大百科事典内の曼荼羅の言及

【円】より

…太極は目に見えない宇宙の根源的実在だが,そこから陰陽の二気が生じ,さらにその二気が動くことから,水火木金土の五行が成立し,太極の動きと二気,そして五行の働きによって,男女が生まれ万物が生成するという原理を説明するために考えられた図形である。 1年の12ヵ月を表す図形や占星術の黄道帯も円形で表され,統合・分割・循環を意味するが,さらに中心と四方に広がる内的宇宙と完成を意味するものに,円と四角の組み合わされた図形である曼荼羅がある。曼荼羅は仏教では無上正等覚という最高の悟りの境地を表すもので,心理学者ユングによれば,中心・全体・調和を意味する超越的自己の象徴とされる。…

【数】より

… 五分観には今一つたいせつなモデルがある。曼荼羅(まんだら)的五分観である。曼荼羅はインドに発したものであり,インドから北方にはチベットへ,南方にはジャワ,バリにまでその影響がみられる。…

【瓶】より

…菩薩,とくに観音像の中には,この水瓶を手にした姿のものも少なくない。後者はおもに密教において,曼荼羅(まんだら)の諸尊の供養のために五宝,五香,五薬,五穀,香水などを収める容器として用いられ,宝瓶,賢瓶などともいわれる。いずれにしても,瓶は小乗の比丘の〈六物(ろくもつ)〉には含まれていないところから,とくに大乗になってから重視されるようになり,さらに密教において重要な法具とされるに至ったということができよう。…

【ヒンドゥー教】より

…儀礼には念珠を用い,マントラ(神歌)が唱えられ,御詠歌に似たバジャンが熱狂的に歌われることもある。またヤントラという象徴的・神秘的図形が用いられ,卍(まんじ)がスワスティカー(幸福の印)として使われ,儀式を行うためにマンダラ(曼荼羅)と称する一定の円形の場所を設ける場合もある。宗教的なめでたさ(吉祥)の象徴として種々の花が用いられるが,とくに蓮華はその代表である。…

【曼陀羅供】より

…仏事の法要名。曼荼羅供とも書く。略称は〈曼供(まんく)〉。…

【密教】より

…7世紀ころになると,体系的な密教経典である《大日経》《金剛頂経》などが成立した。これらの経典によって,除災招福などの現世利益を目的とした儀礼・呪法に,大乗仏教の思想性が付与され,修法の目的が成仏に変化し,教主がそれまでの釈尊から大日如来になり,さらに宗教体験の絶対世界を象徴的に表現する曼荼羅が生み出されたのである。以後8世紀から12世紀にかけて,密教はインドにおける全盛期を迎え,多くの経典・儀軌が作られた。…

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