改訂新版 世界大百科事典 「市中相場」の意味・わかりやすい解説
市中相場 (しちゅうそうば)
それぞれ個別に進められている売りと買いの集まりを一つの市場としてとらえ,取引段階,取引条件など一定の枠組みを設けて継続的に追った相場。取引が個々に進められても,自由な競争を通じ,取引は一定の線に固まるため,その商品の指標的な相場が形成される。市中相場は,問屋どうしの荷の融通を目的とする問屋仲間相場と,商品流通の川上から川下への経路のうちで最も需給実態に忠実な段階の取引価格を抜き出した一般卸相場に大別できる。仲間相場の対象商品は,鋼材,原糸,非鉄金属,米,雑穀などで,大部分の商品は生産者から流通業者を経て需要家へと流れるため,一般卸が市中相場の多数派である。そのうち取引量がまとまり,しかも競争が激しい結果,需給実態を反映しやすいのは,問屋の販売価格である卸相場が圧倒的に多い。ただ生コンクリート,石油化学原料など生産者から直接需要家に入る商品は,その直需価格が市中相場となる。
執筆者:米良 周
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報