改訂新版 世界大百科事典 「希少資源」の意味・わかりやすい解説
希少資源 (きしょうしげん)
その利用可能量が欲求に比べて相対的に限定されている資源をいう。利用可能量が欲求に比べて限定されておらず,希少性をもたない資源は,いかに有用であり効用をもとうとも,経済学の対象とはならず,希少資源こそがその対象となる。そして,財やサービスを生産するために,希少資源を効率的に配分するメカニズムの研究が,古くから経済学の研究課題であった。自由市場における価格機構は,希少資源を効率的に配分するすぐれたメカニズムの一つである。欲求に比べて利用可能量が極度に制限されている石油等の希少資源は,価格機構を通してきわめて高い価格を付けることで,強く欲求する需要者にのみ効率的に配分される。しかし,近年においては,財政政策によって価格機構にさまざまな修正が加えられ,公共福祉の観点をも加味した配分が企てられている。なお財の分類からは,希少資源は経済財に,希少性をもたない資源は自由財に属する。
執筆者:宮越 竜義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報