日本大百科全書(ニッポニカ) 「師遠年中行事」の意味・わかりやすい解説
師遠年中行事
もろとおねんじゅうぎょうじ
平安時代に著された年中行事の書。一巻。中原師遠(1077―1130)の作とされるが、11世紀中ごろには完成していたと考えられる。内容は、朝廷で行われる年中行事を記したものだが、注記には摂関期を反映して、関白家の臨時客や法成寺(ほうじょうじ)の修正会(しゅしょうえ)なども含まれている。外記(げき)(太政官(だいじょうかん)の奏文をつくり、恒例・臨時の儀式にあずかる文筆に長じた者が選ばれた役職で、中原氏と清原氏が代々任ぜられた)の職務遂行のために作成したとされ、師遠の子孫、師元(もろもと)、師緒(もろお)、師光(もろみつ)らも類似した書を残している。
[酒井信彦]