常磁性共鳴吸収(読み)じょうじせいきょうめいきゅうしゅう(英語表記)paramagnetic resonance absorption

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

常磁性物質に磁場と電場とをかけ、それから生ずる電波の吸収を測定して、分子の電子状態を調べる物理的方法の一つ。電子スピン共鳴(electron spin resonance、略称ESR)の一部であるといえる。

 物質が常磁性を示すのは、(1)奇数個の電子をもつ原子や分子=アルカリ金属、NOガス、有機遊離基(フリーラジカル)など、(2)遷移元素、希土類元素、アクチニウム系列元素、(3)不対電子をもつ化合物=酸素分子など、である。これらの物質に磁場をかけると、エネルギー準位が分裂する。この分裂の大きさは、作用した磁場の大きさと、磁気モーメントの大きさによって定まるが、数千ガウスの磁場をかけた場合、マイクロ波の波長(数センチメートル)に対応する。有機化合物内のフリーラジカルの状態の研究に広く用いられるほか、遷移元素の結合状態、半導体内の極微量不純物の検出などにも用いられている。

[下沢 隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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