常磁性(読み)ジョウジセイ

デジタル大辞泉 「常磁性」の意味・読み・例文・類語

じょう‐じせい〔ジヤウ‐〕【常磁性】

物質磁界内に置くと、磁界と同じ方向磁化され、磁界を除くと磁気が消える性質。→反磁性

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「常磁性」の意味・読み・例文・類語

じょう‐じせいジャウ‥【常磁性】

  1. 〘 名詞 〙 物体を磁界内に入れると磁界と同じ方向に磁化される性質。磁界が取り除かれると磁性を失う。〔電気工学ポケットブック(1928)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「常磁性」の意味・わかりやすい解説

常磁性【じょうじせい】

磁場内で磁場の方向に磁化される物質を常磁性体といい,この性質を常磁性という。透磁率は正。残留磁化を示さない点が強磁性体と異なる。物質を構成する粒子が固有の磁気モーメントもち,外部磁場の方向にその向きをある程度そろえることが原因。粒子の熱運動がこの傾向を妨げるため,金属以外の常磁性体では温度が上がると磁化率が低下する。奇数個の電子をもつ原子分子,内部の電子殻が不完全な遷移元素希土類元素やそのイオン等が常磁性を示す。
→関連項目キュリー極低温磁性体反強磁性反磁性メーザーランジュバン

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

化学辞典 第2版 「常磁性」の解説

常磁性
ジョウジセイ
paramagnetism

正の符号磁化率をもつ物質は常磁性を示すという.すなわち,磁場を加えたとき,磁場と同じ向きに磁化される磁性体が常磁性体である.この意味では強磁性体も常磁性を示すが,常磁性体は強磁性体と違い,磁場を除くと磁化は消失する.磁化率はキュリーの法則に従う.常磁性体は気体では O2,NOなどがあり,固体では鉄族とか希土類金属のように,不完全殻をもつ原子またはイオンを含む物質が多い.磁気モーメントをもつ原子核も常磁性を示すが,この磁化は電子による磁化の約1/1000である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常磁性」の意味・わかりやすい解説

常磁性
じょうじせい
paramagnetism

磁場を加えるとその方向に弱く磁化し,磁場を取去るともとの状態に戻るような磁性。熱運動によってスピン配向が乱され,スピンの自発磁化のない磁性状態である。強磁性体反磁性体でも磁気転移温度以上の高い温度では常磁性を示す。金属内の自由電子が示す常磁性はパウリ常磁性と呼ばれ,磁化率は温度にほとんど依存しない一定値をもつ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「常磁性」の意味・わかりやすい解説

常磁性 (じょうじせい)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の常磁性の言及

【固体】より

…半導体では温度が下がると電流の運び手である自由電子が不純物に戻り,その結果,自由電子数が減少するために抵抗が増大して,金属と逆のふるまいを示す。金属半導体
[磁性による固体の分類]
 固体は磁場の中におかれたときに示す性質によって,強磁性体,フェリ磁性体,反強磁性体,常磁性体,反磁性体に分類される。これらの磁気的性質(磁性という)の原因は物質中の電子によるもので,電子の軌道運動とスピンに起因するものに大別される。…

【磁化】より

…比例定数χは磁化率または帯磁率と呼ばれる。磁化率が正の場合,すなわち磁化が加えた磁場に平行な場合,その物質の磁性を常磁性と呼び,磁化率が負で,磁化が加えた磁場に反平行な場合を反磁性と呼ぶ(物質が等方的でなければ磁化率はテンソルになる)。微視的には強磁性に似た磁性の成立ちをもち,反強磁性と名付けられる磁性を示す物質があるが,反強磁性物質の磁化は常磁性の場合に似たふるまいをする。…

【磁性】より

…このとき著しい性質を示すのは強磁性と呼ばれる磁性を有する物質(強磁性体)で,自身も磁極をもち,磁石となって互いに力を及ぼす。強磁性のような著しい効果は示さないが,磁石が及ぼす力(磁場)の方向に対して逆の方向に弱い磁化を生ずる性質を反磁性,磁場の方向に平行な磁化を生ずる性質を常磁性といい,そのような磁性をもつ物質をそれぞれ反磁性体,常磁性体と呼ぶ。強磁性に対し,反磁性,常磁性を弱い磁性,または弱磁性feeble magnetismということがある。…

※「常磁性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android