干渉フィルター（読み）カンショウフィルター

デジタル大辞泉

かんしょう‐フィルター〔カンセフ‐〕【干渉フィルター】

ある狭い範囲の波長の光だけを透過させたり、反射させたりするフィルター。光の干渉を利用する。

出典　小学館

化学辞典 第2版

干渉フィルター
カンショウフィルター
interference filter

白色光を分離し，狭い波長領域の光を取り出すための光フィルター．たとえば，水銀，キセノン，カドミウム放電管から特定の波長を選択的に取り出すために利用される．光を部分的に反射する金属フィルターを蒸着した2枚の透明な板の間に，透明な物体をはさんでつくる．その中心の波長は，中央にある透明物体の厚さおよび性質によって決まる．たとえば，MgF₂，または氷晶石などの透明薄膜(光学的厚さをλ/2，λは光の波長)の両面に半透明の銀膜をつけたものでは白色光が垂直に入射するとき，射出光は波長λを中心とするきわめて狭い透過帯の単色光に近いものとなる．中心波長の透過率は約30％ で，半値幅が約10～20 nm である．このようなフィルターを何枚も重ねた多層膜干渉フィルターも利用されている．これには銀膜のかわりに高屈折率の透明薄膜(たとえばZnS)と低屈折率の透明薄膜(MgF₂，氷晶石など)とを，交互に重ねた反射防止膜を用いる．これは中心波長の透過率は70～80％ に達し，半値幅は5 nm 程度となる．

出典　森北出版「化学辞典（第2版）」

栄養・生化学辞典

干渉フィルター

　単色光を得るための薄膜のフィルター．

出典　朝倉書店

世界大百科事典（旧版）内の干渉フィルターの言及

【フィルター】より

…写真用フィルターは着色ガラスを用いるものが多く，一部ゼラチンフィルターも用いられる。　写真用ではないが，干渉フィルターはガラス基盤上に真空蒸着で作られた光学薄膜の干渉作用を利用するもので，特定の波長だけを選択的に通すもの，特定の波長帯域のみを通すもの，あるいは反射するものなど多くの品種がある。また一般の理化学用フィルターは可視域に限らず紫外から赤外まで広い波長範囲を対象としている。…

※「干渉フィルター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」