広塩性(読み)こうえんせい

最新 地学事典 「広塩性」の解説

こうえんせい
広塩性

euryhaline

塩分に対して適応性の広い生物の性質。広鹹かん性,広塩度性とも。一般に塩分変化の大きい汽水域や沿岸域の生物に広塩性のものが多い。塩分が変化しても内部浸透を一定に保つことができる恒浸透圧性動物(homoiosmotic animals)が,広塩性生物になりうる。魚類ハゼスズキ・マス,軟体動物のアサリヤマトシジミ,汽水生のカニ類,植物ではハマヒルガオ・ヨシなど。一方,塩分に対して適応性の狭い生物の性質を狭塩性または狭鹹性(stenoha-line)という。塩分変化に応じて体液の浸透圧が変化する変浸透圧動物(poikilosmotic animals)は,一部を除いて狭塩性生物である。大部分の外洋性生物は狭塩性。広塩性・狭塩性の区別は相対的であり,例えば沿岸・汽水生のカキ類の場合,Crassostrea gigasマガキ)のほうがOstrea denselamellosaイタボガキ)よりも広塩性。また,狭塩性種の化石のほうが生息時の塩分推定に有効。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「広塩性」の意味・わかりやすい解説

広塩性
こうえんせい

生物が塩分濃度変化の広い範囲に生存できる性質をいう。その反対の性質を狭塩性とよぶ。河口域のように淡水海水が混じるところでは、雨期乾期といった季節により、また1日のうちでも潮の干満によっても塩分濃度変化が著しく、そのため、そこにすむ生物の多くは広塩性である。広塩性生物では、狭塩性生物に比べて、外界水の塩分濃度変化に抗して体液の浸透圧を一定に保つか、または、体液の浸透圧は外界水に伴って変化しても体細胞自身がこの変化に耐えうる機能が発達している。この耐性の程度は種ごとに異なり、河口域では淡水の影響が大きい上流域分布するものほど一般によく発達している。広塩性の程度はまた外界水の温度条件によっても変化し、その例として、同じ種でも低緯度地域ほど低塩分条件のところまで生息することが知られている。広塩性生物の例として、魚類では、マハゼウグイ、スズキ、ウナギクロダイ、そのほかの動物では、ゴカイ、マガキ、モクズガニなどがあげられる。

[和田恵次]

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世界大百科事典(旧版)内の広塩性の言及

【浸透圧調節】より

…海底や外洋など海水濃度の変動のない場所にすむ無脊椎動物はほとんどがこれに属する。一方,外界の浸透圧(塩分濃度)の変化にたいする耐性の面から,広い範囲の塩分濃度に耐えるものを広塩性euryhaline,範囲の狭いものを狭塩性stenohalineという。広塩性動物の多くは浸透圧調節能力をもっている。…

※「広塩性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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