日本大百科全書(ニッポニカ) 「廃品回収業」の意味・わかりやすい解説
廃品回収業
はいひんかいしゅうぎょう
かつての屑屋(くずや)にあたる。第二次世界大戦後に生まれた職業。屑物は広く廃品、再生資源といわれ、それらの回収者は、再生資源回収、屑拾い、屑物買入れ、ちり紙交換といった業種に分かれ、それぞれの経営組織に組み込まれている。17世紀、京に棹秤(さおばかり)で量って紙切れ反古(ほご)の破れ紙を買い集めて直屋(なおしや)(再生処理屋か)へ売り渡す女性の紙屑買(かい)がいた。その後、大坂・江戸そのほかの都市にもみられ、18世紀からは男性の仕事となり、紙屑のほかに古着、古鉄(ふるがね)、古銅(ふるどう)、古道具などを買い集め、それをそれぞれ直屋(なおしや)、古着屋、古鉄屋、古道具屋などに引き取らせ口銭をもらった。これらを屑屋ともいうようになった。また、町には、落ちている紙屑類を拾う紙屑拾いもいた。19世紀後半には台秤をのせた手車を引き、紙屑、古新聞、古雑誌、さらに空缶などを集めて歩いた。やがて手車はリヤカーとなり、現代では拡声器付きの小型トラックを使うのが普通である。
[遠藤元男]