引き入る(読み)ヒキイル

デジタル大辞泉 「引き入る」の意味・読み・例文・類語

ひき‐い・る【引き入る】

[動ラ四]
ひっこむ。ひきさがる。
「見合はせ給へる御顔、いと赤うなりながら、わざと―・りなどせさせ給はず」〈狭衣・三〉
人から隠れる。ひきこもる。
「物しめやかに―・り給へるを」〈紅梅
控えめに振る舞う。遠慮する。
ひとへに物づつみし、―・りたる方はしも」〈末摘花
息が絶える。
「まさしき最後にて―・らせ給ひにけりとぞ」〈愚管抄・四〉
車を内に入れる。
御車あり…―・りて寄すると」〈落窪・二〉
[動ラ下二]ひきいれる」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「引き入る」の意味・読み・例文・類語

ひき‐い・る【引入】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
    1. 引っこむ。引き退く。ひきさがる。
      1. [初出の実例]「いま少し奥にひきいりて、さすがにゆかしきなめり」(出典:枕草子(10C終)一八四)
    2. 引きこもる。隠れ忍ぶ。隠遁する。
      1. [初出の実例]「物のあはれをりをかしきことをも、見知らぬさまにひきいり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)
    3. 心の中に押し込める。つつみ思う。また、遠慮がちにする。
      1. [初出の実例]「いと有心に、引きいりたるおぼえはたなければ」(出典:枕草子(10C終)八四)
    4. 息が絶える。絶息する。
      1. [初出の実例]「まさしき最後にてひきいらせ給にけるとぞ」(出典:文明本愚管抄(1220)四)
    5. 車などをひいて、中にはいる。
      1. [初出の実例]「大津のいとものむつかしき屋どもの中にひきいりにけり」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙ひきいれる(引入)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android