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狭衣物語 さごろもものがたり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

狭衣物語
さごろもものがたり

平安時代中期の物語。『さごろも』ともいう。作者はばい子 (ばいし) 内親王の女房で,『六条斎院物語合』 (1055) に『玉藻にあそぶ権大納言』をつくった六条斎院宣旨とされる。4巻。成立は白河天皇の頃か。堀川関白の子ですべて人にすぐれた主人公狭衣が,同じ邸内に養われる従妹の源氏宮 (げんじのみや) に恋しながら報われずに,心ならずも飛鳥井姫,嵯峨院の女二宮,一品宮 (いっぽんのみや) ,宰相の中将の妹などと関係を重ねて,彼女らの不幸を招く。狭衣自身も,帝位に上るという異例の幸運を得ながら,ついに気持が晴れるときがなかった。筋はほとんど『源氏物語』の換骨奪胎にすぎないが,緊密な構成,巧みな和歌,洗練された文章などによって,鎌倉時代には『源氏物語』と並称され,藤原定家の『源氏狭衣百番歌合』がある。

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デジタル大辞泉の解説

さごろもものがたり【狭衣物語】

平安時代の物語。4巻。作者は禖子(ばいし)内親王宣旨(せんじ)とされる。延久承保(1069~1077)のころの成立。狭衣大将の、源氏宮との遂げられぬ恋を中心とした恋愛生活を描く。

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百科事典マイペディアの解説

狭衣物語【さごろもものがたり】

平安後期の物語。4巻。1100年ごろ成立。作者は紫式部の娘大弐三位説があったが,今は六条斎院【ばい】子内親王宣旨(女房の名)の説が有力である。狭衣大将の従妹源氏宮に対するとげられぬ恋の物語で,《源氏物語》の影響が大きく,源氏に次ぐ物語として広く読まれた。
→関連項目あさぢが露物語文学夜半の寝覚

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世界大百科事典 第2版の解説

さごろもものがたり【狭衣物語】

平安後期の物語。4巻。作者は後朱雀院の皇女禖子(ばいし)内親王に仕えた宣旨(女房の名)と伝えられる。宣旨は1055年(天喜3)5月の《六条斎院歌合》(題物語)に《玉藻に遊ぶ》という物語を提出しているが,今は散逸している。宣旨には源頼国女が擬せられているが確かでない。物語は帝の甥である狭衣大将の,従妹源氏宮に対する満たされぬ恋の話を中心とし,飛鳥井姫,女二宮,一品宮とのそれぞれいきさつがあっての不幸な契りの話をからませ,最後は源氏宮の縁筋で宮に似た宰相中将妹君を得,わずかに心慰み,帝位にもつくが,源氏宮,一品宮,女二宮からは背かれたままで終わるという筋。

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大辞林 第三版の解説

さごろもものがたり【狭衣物語】

物語。四巻。作者は禖子ばいし内親王宣旨せんじ説が有力。一一世紀後半の成立。狭衣大将の悲恋物語。「源氏物語」の影響が強い。平安後期の物語中の秀作。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

狭衣物語
さごろもものがたり

平安中期の物語。作者は古くから大弐三位(だいにのさんみ)(紫式部娘)とされていたが、今日では六条斎院(ばいし)内親王家宣旨(せんじ)とすることでほぼ一致している。成立は承暦(じょうりゃく)年間(1077~1081)の前後であったと思われる。
 この物語は4巻からなり、男主人公の狭衣大将が、従妹の美しい源氏の宮へ思慕の情を寄せることで全編が貫かれている。ただその恋の思いは果たすことができず、彼は「色々に重ねては着じ人知れず思ひそめてし夜半の狭衣」との歌を詠み、純粋な愛を貫こうとするが、現実には不本意ながら次々と別の女性との関係をもつに至る。源氏の宮への恋慕を底流にしながら、巻1では飛鳥井(あすかい)の君、巻2では嵯峨院女二宮(さがのいんおんなにのみや)、巻3では一品宮(いっぽんのみや)、巻4では藤壺中宮(ふじつぼのちゅうぐう)を登場させ、狭衣大将との恋物語を展開する。だがその女性たちも、飛鳥井の君は失踪(しっそう)して死に、女二宮は出家し、一品宮とは結婚した当初から疎遠な仲であるなど、苦悶(くもん)の多い恋愛を強いられる。思いがけなく狭衣大将は帝位につき、源氏の宮におもかげの似る藤壺中宮との間に皇子をもうけるが、彼の心は飛鳥井の君や女二宮などを思って晴れるおりがなかったという。『無名草子(むみょうぞうし)』に「狭衣こそ源氏に次ぎてはよう覚え侍(はべ)れ」とあるように、早くから『狭衣物語』の評価は高い。『源氏物語』の亜流との批評もあるが、完成度の高い作品として改めて見直そうとする動きもある。[伊井春樹]
『松村博司・石川徹校註『日本古典全書 狭衣物語』上下(1965、1967・朝日新聞社) ▽三谷栄一・関根慶子校注『日本古典文学大系79 狭衣物語』(1965・岩波書店) ▽吉田幸一著『深川本 狭衣とその研究』(1982・古典文庫)』

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