( [ 一 ]①について ) 紅(くれない)の染料とするところから、挙例の「万葉」のように、上代の和歌では「紅の末摘花」などと詠んで「色に出づ」を導き出す序詞とされることがある。
川柳風狂句艶句集。《誹風末摘花》とも記す。初編は書肆花屋久次郎編。1776年(安永5)刊。二編以下は浅草似実軒酔茶(戯号)編。83年(天明3)二編,91年(寛政3)三編,1801年(享和1)四編刊。初編の奥に〈川柳評万句合(まんくあわせ)書抜〉とあるように,初代川柳の万句合摺物から〈末番(すえばん)句(ばれ)〉だけを抜いたもので,末番の花を摘み集めたというしゃれた書名である。4編合計2331句。大正末年に沢田五猫庵の手により,八編までが追加編集されている。さらにその拾い落しを集めた《古川柳艶句選》(岡田甫編,1958)により完備した。《末摘花》は1947年まで繰返し猥褻(わいせつ)書として発禁処分をうけてきたが,性愛に関する人間の諸姿態心情を冷静に見つめた滑稽文学の粋である。各巻頭句をみると,〈蛤は初手赤貝は夜中なり(初夜)〉〈初会にはうつわをかすとおもふ世〉〈陰茎(いんきよう)がおへたと学者妻にいゝ〉〈木のやうにして仲人は床をとり〉で飾っている。
執筆者:鈴木 勝忠
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江戸中期の川柳(せんりゅう)句集。4編。初編1776年(安永5)刊、4編1802年(享和2)刊か。各編約500~600句を収める。書名は『誹風(はいふう)末摘花』とも。「末摘花」は、川柳評万句合(まんくあわせ)の末番(すえばん)(末等入賞)中より恋の句を抜粋したことを、『源氏物語』末摘花の巻に言い掛けた命名で、卑俗で滑稽(こっけい)な恋の句を集成し、『柳多留(やなぎだる)』の恋の句版を意図したもの。「蛤(はまぐり)は初手(しょて)赤貝(あかがい)は夜中(よなか)なり」の巻頭句をはじめとして、句の素材は卑猥(ひわい)であるが、表現は軽妙な滑稽感にあふれた佳句が多く、また江戸風俗の資料としても貴重。なお、大正に至って、沢田例外(れいがい)が5~8編を編んだ。
[岩田秀行]
『岡田甫編『定本誹風末摘花』(1952・第一出版社)』▽『岡田甫著『川柳末摘花詳釈』上・下・拾遺編(1955~56・有光書房)』
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[構成]
現代では全編を三部構成と見る説が有力である。第1部は,1桐壺(きりつぼ),2帚木(ははきぎ),3空蟬(うつせみ),4夕顔,5若紫,6末摘花(すえつむはな),7紅葉賀(もみじのが),8花宴(はなのえん),9葵,10賢木(さかき),11花散里(はなちるさと),12須磨,13明石,14澪標(みおつくし),15蓬生(よもぎう),16関屋,17絵合,18松風,19薄雲,20朝顔,21少女(おとめ),22玉鬘(たまかずら),23初音(はつね),24胡蝶,25蛍,26常夏(とこなつ),27篝火(かがりび),28野分,29行幸(みゆき),30藤袴(ふじばかま),31真木柱(まきばしら),32梅枝(うめがえ),33藤裏葉(ふじのうらば)。第2部は,34若菜上,35若菜下,36柏木(かしわぎ),37横笛,38鈴虫,39夕霧,40御法(みのり),41幻(まぼろし)。…
…花から紅をとるほか,薬用にも栽培された。古くはスエツムハナ(末摘花),クレノアイ(呉の藍)とも呼ばれ,〈末摘花〉は《源氏物語》の巻名にもなっている。最近では油料作物としてアメリカやオーストラリアでも栽培が多い。…
※「末摘花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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