大学事典 「引用数」の解説
引用数
いんようすう
学術論文が他の学術論文にどれだけ引用されたか計測した数を引用数(あるいは被引用数)という。学術論文は先行研究を引用することにより,既存の知識体系に対する新規性を示すことが求められる。そのため,論文が引用されることは,知識体系を構成するものの一つと認められ,その後の他者の研究に影響をもたらしたことを示す。この前提のもとで,引用数は論文の「インパクト」の大きさを示すものとして考えられており,論文の「質」を直接的に示すものではない。引用数を計測するためには,論文に記された参考文献を一覧化して収録したデータベースが必要であり,1950年代にユージン・ガーフィールド,E.がサイテーション・インデックス(現在のWeb of Science)を開発して可能となった。現在は,大学ランキングなどにおいて,引用数の集計値や平値,引用数が高い論文(高被引用論文)の数や割合といった指標がしばしば用いられる。しかし,学問分野によって引用数の平値は大きく異なることや,否定的な引用(問題点を指摘するための引用など)も存在し,引用数のみによる分析には限界もある。
著者: 林隆之
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報