改訂新版 世界大百科事典 「張君〓」の意味・わかりやすい解説
張君 (ちょうくんばい)
Zhāng Jūn mài
生没年:1887-1969
中国の思想家,政治家。江蘇省宝山県の人。名は嘉森。君勱は字。1906年(光緒32),日本に留学し,早稲田大学政治科に入り,梁啓超の政聞社に参加,立憲君主制を鼓吹した。13年,ドイツに留学し,ベルリン大学で政治経済学を学び,15年,袁世凱の帝制運動に反対して帰国。18年,梁啓超らとともにヨーロッパを視察したが,そのままドイツに22年までとどまり,最初イェーナ大学のオイケンから哲学を学び,ついでベルグソンを研究し,またドリーシュを中国に招いて新生気論を紹介した。帰国後,〈人生観〉と題する講演が反響をよび,丁文江ら科学者との間に10年にわたる〈科学と人生観〉論争がおこり,彼は人間の自由意志は科学をこえていることを強調した。32年,漸進的社会主義を唱える国家社会党を結成する。46年,伍憲子らの民主憲政党と合併し,中国民主社会党と改称する。49年,インドに亡命,ついでアメリカに渡り客死した。
執筆者:坂出 祥伸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報