彦六座(読み)ひころくざ

改訂新版 世界大百科事典 「彦六座」の意味・わかりやすい解説

彦六座 (ひころくざ)

人形浄瑠璃の劇場名。文楽座に対抗する勢力として,1883年6月,大阪日本橋(につぽんばし)北詰(大阪市中央区)に沢の席が開場した。興行ごとに評判が高まったので,寺井安四郎(1853-1917。のちの2世豊竹柳適太夫)が金主となり,84年1月,博労町稲荷境内(大阪市中央区淡路町の難波神社)の北門に彦六席を開場し,沢の席の一座を移して興行した。翌月から彦六座と改称。地の利の良さもあって興行成績が上昇しはじめたので,9月には文楽座も松島から彦六座に近い御霊神社境内へ引っ越してくる。ここに彦六,文楽両座の競争時代が現出する。しかし彦六座は,88年2月に出火,全焼した。6月に再建されたが,おもだった太夫,人形遣いが相次いで死没,退座したため衰運に向かい,93年9月興行を最後に閉場した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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