後腹膜腫線維症

内科学 第10版 「後腹膜腫線維症」の解説

後腹膜腫線維症(後腹膜腫瘍ほか,腹膜疾患)

(2)後腹膜線維症
慢性の後腹膜腔の線維化をきたす非腫瘍性疾患.線維化の機序の詳細は不明で,原因不明の特発性のものと薬剤(非ステロイド系抗炎症薬,抗菌薬,麦角系ドパミンアゴニストなど)などに伴う続発性のものがある.一部にはIgG4関連硬化性疾患と考えられるものもあり,その場合は,膵,胆管甲状腺唾液腺などさまざまな臓器に線維化を伴いうる.当初は無症状で緩徐に進行し,腹痛浮腫尿閉腎不全などをきたす.尿閉,水腎症が全面に出て泌尿器科で診療されることが多いが,腹部大動脈,下大静脈,門脈などが線維組織に取り囲まれることも多い.CT,MRIや尿路造影で診断されるが,腫瘍との鑑別生検が必要なこともある.ステロイドや免疫抑制薬(アザチオプリン,メトトレキセートなど)が奏効することもあるが尿路系の手術が必要になることもある.[藤沢聡郎・松橋信行]
■文献
Debrock G, Vanhentenrijk V, et al: A phase II trial with rosiglitazone in liposarcoma patients. Br J Cancer, 89: 1409-1412, 2003.
Saab S, Hernandez JC, et al: Oral antibiotic prophylaxis reduces spontaneous bacterial peritonitis occurrence and improves short-term survival in cirrhosis: a meta-analysis. Am J Gastroenterol, 104: 993, 2009.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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