精選版 日本国語大辞典 「唾液腺」の意味・読み・例文・類語
だえき‐せん【唾液腺】
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動物の口腔(こうこう)や咽頭(いんとう)に開口する外分泌腺で、唾液を分泌する。脊椎(せきつい)動物では、主要な唾液腺は顎下腺(がくかせん)、舌下腺、および哺乳(ほにゅう)類のみがもつ耳下腺(じかせん)で、少数の例外を除いて多くは分枝型の腺である。顎下腺、舌下腺は粘液性細胞と漿液性(しょうえきせい)細胞をもち、耳下腺は後者のみである。ともに消化酵素としてアミラーゼ、マルターゼを分泌し、排出管からは塩化ナトリウムが分泌されて酵素を活性化する。耳下腺からはホルモン様物質(パロチン)が出るといわれる。毒ヘビの毒腺は、唾液腺のうち口唇腺の変形したものである。
無脊椎動物の唾液腺は多様で、消化酵素(ヒザラガイ、カタツムリなど)、酸(ウズラガイ、ツメタガイなど)、毒物質(クモなど)、ホルモン様物質(頭足類など)、抗血液凝固物質(ヒル、ダニなど)、孵化(ふか)酵素(セクロピアカイコ)などが分泌される。
[八杉貞雄]
ヒトの唾液腺(口腔腺(こうくうせん))には大型の大口腔腺と小型の小口腔腺とが区別される。大口腔腺には耳下腺、顎下腺および舌下腺があり、これは哺乳類において発達している。小口腔腺には口唇腺、頬腺(きょうせん)、臼歯腺(きゅうしせん)、口蓋腺(こうがいせん)、舌腺がある。唾液腺はすべて複合腺で、多数の分岐した導管の終末部には分泌物を産生する分泌細胞によって取り囲まれた腺房があり、ここから分泌された分泌液は導管を通って排出される。これらの唾液腺は分泌物の性状から、漿液腺、粘液腺および混合腺に分類される。漿液腺は消化酵素であるプチアリンおよび無機塩類を含む粘性の少ない液を分泌し、粘液腺は酸性多糖類に富む粘性のある液を出す。耳下腺はその大部分が漿液腺であるが、顎下腺、舌下腺は混合腺である。小口腔腺の大部分は混合腺であるが、口蓋腺は粘液腺である。
大口腔腺、小口腔腺の分泌物は合して唾液となる。しかし、分泌物の性状は、粘液と漿液とにかならずしも単純に分けられるものではない。唾液の役割は、口中を潤して滑らかにするほか、食物のそしゃくや味覚の働きを助けることにある。唾液腺は自律神経に支配されており、豊富な神経線維が分布している。そのうち、交感神経の刺激では、粘稠(ねんちゅう)な唾液が分泌され、副交感神経の刺激では、水分の多い、薄い唾液が分泌される。舌根部にある有郭乳頭の周りの溝の底、あるいは葉状(ようじょう)乳頭の間にあるエーブネル腺とよぶ唾液腺は、味蕾(みらい)に到達した物質を分解し、次の味覚に備えるといわれる。なお、唾液腺は血管やリンパ管にも富んでいる。
[嶋井和世]
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…小あごと下唇には通常,味覚などの感受器が分布する口鬚(こうしゆ)(くちひげ)palpがある。下咽頭の基部には,アミラーゼなどの消化酵素を分泌する唾液(だえき)腺が開口している。アリジゴクの大あごと小あごは細長く管状に伸び,獲物の内臓物を分解する酵素を出したのち,液状物として吸い込む。…
※「唾液腺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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