尿閉(読み)にょうへい(英語表記)urinary retention

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

尿閉
にょうへい
urinary retention

尿が膀胱内に充満しているのに排尿できない状態をいう。まったく排尿のない完全尿閉と,少しは排出する不全尿閉に大別できる。原因は,尿路結石,前立腺の肥大や癌,尿道狭窄,排尿支配神経の障害などがある。完全あるいは高度な不全尿閉では,生命に及ぼす危険を考慮して,柔らかいカテーテルによる導尿を行い,それが不可能の場合は,下腹部から膀胱に長い注射針を刺して排尿をはかるなど,すみやかな処置をとる必要がある。

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百科事典マイペディアの解説

尿閉【にょうへい】

膀胱(ぼうこう)内に尿が貯留して排出されない状態。下腹部が膨隆し,苦痛が激しい。カテーテルまたは膀胱穿刺(せんし)により排尿する。結石,腫瘍(しゅよう)などによる尿道の閉塞(へいそく),膀胱疾患,脊髄疾患,時に薬剤によっても起こる。中年以後の男性の尿閉は前立腺肥大症によるものが最も多い。なお完全尿閉のほか,部分的尿閉(残尿の続く状態)もあり,慢性尿閉では腎機能障害により尿毒症を併発しやすい。
→関連項目乏尿

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世界大百科事典 第2版の解説

にょうへい【尿閉 urinary retention】

尿が膀胱内に貯留し,排出されない状態をいう。まったく排出されない場合を完全尿閉,少しは排出されるが大部分膀胱に残ってしまうものを不完全尿閉という。また尿閉が急激に起こったものを急性尿閉,しだいに起こったものを慢性尿閉という。尿閉の原因は膀胱以下の尿路(膀胱頸部,尿道)に器質的・機能的閉塞状態が起こった場合で,器質的なものとしては前立腺肥大症前立腺癌,尿道狭窄,尿道結石など,機能的なものとしては神経因性膀胱があげられる。

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大辞林 第三版の解説

にょうへい【尿閉】

膀胱ぼうこう内にたまっている尿を自力で排泄することができない状態。膀胱・尿道の炎症、結石・前立腺肥大・子宮筋腫などによる尿路の閉塞や神経系疾患などが原因となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

尿閉
にょうへい

膀胱(ぼうこう)内に尿が停滞する状態をいい、いかに努力しても排尿できない場合を完全尿閉という。尿道狭窄(きょうさく)、前立腺(せん)肥大症、脊髄(せきずい)損傷、尿道結石などにみられる。激しい尿意を催しながら排尿できず、膀胱痛のため七転八倒の苦しみを訴え、冷や汗を流して頻脈状態になる。こういう場合に下腹部を触ってみると、半球状の膀胱の膨隆を認め、強い圧痛がある。前立腺肥大症をもつ人は、飲酒中に突然尿閉になることがある。一方、排尿することはできるが全部排出できず、尿の一部が膀胱に残留する状態を不完全尿閉という。多くは排尿困難を伴い、膀胱内に残留する尿(残尿)も増加する。残尿が増えるにつれて腎(じん)機能が障害を受け、ついには尿毒症に至る危険がある。前立腺肥大症、尿道狭窄、脊髄損傷に多い。
 完全尿閉の救急処置として導尿法がある。これは、細い管(尿道カテーテル)を尿道から膀胱に挿入し、膀胱にたまった尿を排出させる方法である。尿閉が一度の導尿で改善しない場合は、留置カテーテル法といって、カテーテルをしばらく膀胱に挿入したままにしておく。尿道狭窄などで導尿が不可能なときは、膀胱を直接穿刺(せんし)して排尿する。[土田正義]

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精選版 日本国語大辞典の解説

にょう‐へい ネウ‥【尿閉】

〘名〙 尿が膀胱(ぼうこう)内にとどこおって体外に排出されないか、されにくい状態。膀胱結石、前立腺肥大症、尿道狭窄などが原因となる。〔西説内科撰要(1792)〕

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世界大百科事典内の尿閉の言及

【尿】より

…一方,異常な乏尿や無尿は,病的な原因で糸球体ろ(濾)過量が減少することによって起こる。また尿路の通過障害や膀胱の機能障害によって排尿できない場合または尿量が少なくなっている状態は尿閉と呼ばれる。
[尿の成分]
 尿のおもな成分は,(1)尿素,(2)ナトリウムイオンNa,(3)カリウムイオンK,(4)塩素イオンCl,(5)アンモニウムイオンNH4である(図1)。…

※「尿閉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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