コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

甲状腺 こうじょうせん thyroid gland

7件 の用語解説(甲状腺の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

甲状腺
こうじょうせん
thyroid gland

脊椎動物の頸部の消化管腹側にある内分泌腺の一種。発生的には鰓を生じる前腸底の内胚葉が落込んで生じる。ナメクジウオでは鰓下溝 (さいかこう) と呼ばれる溝であり,ヤツメウナギでは溝は小孔となる。

本文は出典元の記述の一部を掲載しています。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉の解説

こうじょう‐せん〔カフジヤウ‐〕【甲状腺】

喉頭(こうとう)の下方、気管の前方にある蝶(ちょう)形の内分泌腺甲状腺ホルモンを分泌して物質代謝を促し、身体の成熟を促進させる。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

百科事典マイペディアの解説

甲状腺【こうじょうせん】

脊椎動物の内分泌器官の一つ。多くの動物群では1〜2個であるが,魚類では多数が散在する。ヒトの甲状腺は,前頸部の中央で喉頭(こうとう)の下,両側にある。左葉と右葉が気管上部に沿って延び,下部は細い峡部で結ばれ,HまたはU形を呈する。
→関連項目クレチン病内分泌腺粘液水腫

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. ご提供する『百科事典マイペディア』は2010年5月に編集・制作したものです

栄養・生化学辞典の解説

甲状腺

 頚部の前面にある内分泌腺で,甲状腺ホルモントリヨードチロニンチロキシン),カルシトニンを合成,分泌する.

出典|朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版の解説

こうじょうせん【甲状腺 thyroid gland】

咽頭上皮の突起からできる小さい内胚葉性の内分泌器官で,脊椎動物すべてに存在するが,動物の綱によって1個あるいは2個であったり,さらに魚類の中には多数に分かれて散在するものもある。ホヤやヤツメウナギ幼生の内柱endostyle系統発生学的に甲状腺と相同のものである。甲状腺は組織学的にみると濾胞の集団である。濾胞から分泌される甲状腺ホルモンにはチロキシンthyroxine(サイロキシンともいう。T4と略記)とトリヨードチロニンtriiodothyronine(トリヨードサイロニンともいう。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

大辞林 第三版の解説

こうじょうせん【甲状腺】

喉頭隆起(のどぼとけ)の下方、気管の前方に位置する H 形の内分泌器官。甲状腺ホルモンのほか、血中のカルシウムを下げるホルモン(カルシトニン)を分泌する。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

甲状腺
こうじょうせん

前頸部(ぜんけいぶ)に位置し、ちょうど喉頭(こうとう)の下部にある内分泌腺。全体の形ははねを広げたチョウに似ているが、はねに相当する部分が左右に広がる大きな左葉と右葉で、これらは狭い峡部によって連絡している。峡部は輪状軟骨のすぐ下側にあたる部位に位置し、左葉、右葉は咽頭(いんとう)部の外側壁まで広がって付着している。ヒトの約3分の1では峡部から上方に錐体葉(すいたいよう)という部分が突出してみられる。甲状腺全体は頸部の筋膜と連続している結合組織性膜に包まれている。甲状腺の大きさには個人差があるが、普通には、葉の高さ平均3.5センチメートル、幅1~2センチメートル、厚さ1~2センチメートル、重量約20~40グラムとされる。色は褐色を示し、表面には多数の小隆起がみられるが、これは甲状腺内部組織が多数の小胞の集まりでできているためである。この小胞(濾胞(ろほう))はヒトでは大小さまざまで、直径0.02~0.9ミリメートルにわたる扁平(へんぺい)、あるいは円柱形をしているが、動物の場合は大きさがほぼ一定している。濾胞の1個1個は細網線維を主とする細い結合組織で包まれて隔てられているが、濾胞と濾胞との間には毛細血管網が発達していて、濾胞から分泌されたホルモンの吸収が容易になっている。また、毛細血管網の間にはリンパ管網も発達している。濾胞の壁は単層の立方上皮細胞からできており、濾胞腔(くう)内にはコロイド(膠様(こうよう)物質)が満たされている。濾胞上皮細胞の高さは機能によって変化し、甲状腺が刺激されると濾胞上皮細胞の高さは増加するが、これは上皮細胞の働きが活発になるためと考えられている。甲状腺は、分泌物を大量に、しかも細胞外に蓄えることのできる唯一の内分泌腺であり、10か月間分のホルモンを供給できるほどに十分な量をもつといわれる。
 甲状腺が分泌するホルモンは、代謝率の調節に関係するチロキシンとトリヨードチロニン、および血液中のカルシウム濃度を低下させるカルシトニンである。チロキシンとトリヨードチロニンは濾胞上皮細胞によって合成され、カルシトニンは濾胞上皮や濾胞の間隙(かんげき)に存在する濾胞傍細胞が合成する。甲状腺ホルモンは多量のヨウ素を含み、体内のヨウ素の5分の3は甲状腺にあるといわれる。また、甲状腺ホルモンは、血清中のヨウ素の濃度を数十万倍まで濃縮することができるとされる。[嶋井和世]

甲状腺ホルモン

ここでは、おもにヒトにおける生理作用とその病気を中心に述べる。
 甲状腺ホルモンの基本構造はチロシン(サイロシン)とよばれるヨード化アミノ酸であり、この分子へ結合するヨウ素の位置と数によって性質が異なってくる。そのうちホルモン作用を有するものはチロキシン(サイロキシン、T4)およびトリヨードチロニン(トリヨードサイロニン、T3)である。T4とT3の作用効果を比較すると、T3はT4の5~8倍とされる。また、T4は効果発現までに潜時があるが、いったん効果を現すと、その持続時間が長いのに対し、T3は速効性であり、その効果の持続時間は短い。こうしたホルモンの作用機序に関しては、2通りの考え方が出されているが、まだその作用を一元的に説明しうるような解明はなされていない。
 甲状腺機能は、視床下部‐下垂体系によって調節されている。すなわち、血中甲状腺ホルモン濃度が低下すると、それが視床下部および下垂体に働き、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌が促進されるわけである。一方、血中甲状腺ホルモンが過量になるとTRH、TSHの分泌は抑制される。このように視床下部‐下垂体‐甲状腺系は、負のフィードバック機構によって、血中甲状腺ホルモンを一定に保っているのである。
 甲状腺ホルモンは明らかな標的器官をもたないため、その作用との直接関係は明らかではないが、エネルギー代謝、タンパク・核酸代謝、成長、糖代謝、脂肪代謝、ビタミン等に効果を及ぼすことが知られている。以下、作用のいくつかを述べる。
(1)甲状腺ホルモンの作用として第一にあげられるのは生体の代謝促進であるが、これは酸素消費を刺激する作用である熱量産生作用に基づく二次的なものである。この熱量産生作用の発現機序としては、甲状腺ホルモンがミトコンドリア(糸粒体ともいう細胞の常在成分の一つ)における酸化的リン酸化反応の脱共役剤として働き、酸素消費は増大し、酸化のエネルギーは熱として放出されると説明されているが、ジニトロフェノール(DNP)のような他の脱共役剤が甲状腺ホルモンと同じ作用を示さないことから、甲状腺ホルモンの作用を十分に説明したとはいいがたい。しかし、いずれにしても末梢(まっしょう)組織での酸素消費量の増加に応じて、その供給のため循環機能が適応し、心拍数、心拍出量の増加をきたすわけであり、これは甲状腺機能亢進症(こうしんしょう)の臨床症状の一つである。
(2)甲状腺ホルモンはまたタンパク・核酸合成を促進する。これはもっとも早期に現れる効果である。成長期の甲状腺ホルモン欠乏によるクレチン症では、知能および身体の発育が不良となるが、これは甲状腺ホルモンがタンパク・核酸合成促進作用を通じて神経軸索の髄鞘(ずいしょう)の形成、維持、および骨、骨格筋の成長発育に重要な役割をもっていることを示すものである。このようなタンパク同化作用に対し、甲状腺ホルモンを大量に投与した場合、タンパク分解が促進し、異化作用が著明となる。そのため、甲状腺機能亢進症では全身症状として著しい体重減少がおこることが多い。
(3)甲状腺機能亢進症では糖代謝異常がみられ、糖負荷時に初期の血糖上昇が著明で、糖尿や高血糖がしばしばみられる。これは甲状腺ホルモンによる腸管からのブドウ糖の吸収亢進、糖利用の亢進、タンパク異化・糖新生の亢進、肝グリコーゲンのブドウ糖転化の亢進、遊離脂肪酸の増加に基づくものである。
(4)甲状腺ホルモンは、肝臓においてコレステロール、リン脂質、中性脂肪の合成を促進するが、同時にコレステロールの分解、排泄(はいせつ)、中性脂肪の分解や遊離脂肪酸の放出も促進する。甲状腺機能亢進症で血中コレステロール値が低下し、機能低下症では上昇するが、これはコレステロールの分解の促進、または低下によるものと考えられる。
(5)ビタミンの腸管による吸収、濃度、利用、および活性型への転化速度は甲状腺ホルモンによって影響されるが、その効果はビタミンの種類によりさまざまである。たとえば、甲状腺ホルモンは肝臓においてカロチンがビタミンAになる反応に必要であり、甲状腺機能低下症では血中のカロチン量が増加し、皮膚が黄色みを帯びてくる。
 このほか、甲状腺ホルモンは、カテコルアミンによる中性脂肪の分解、遊離脂肪酸の放出等の作用を促進する。また心筋へのカテコルアミンの取り込みを増加させ循環機能を増強する。また、逆に甲状腺ホルモンの一義的作用である末梢における酸素消費は、カテコルアミンによって増強される。[川上正澄]

動物の甲状腺

円口類を除く脊椎(せきつい)動物では、第1、第2の鰓嚢(さいのう)(咽頭(いんとう)の側壁が前後に膨出して生じた嚢状構造)近くの咽頭上皮が陥入をおこして甲状腺ができてくる。甲状腺は濾胞(ろほう)構造のものが集合した形をとっている。軟骨魚では濾胞は1か所に集合しているが、硬骨魚では濾胞が単独あるいは少数集合したものが散在している。甲状腺は、両生類では左右1対をなし、爬虫(はちゅう)類では一般に心臓の前に1個、鳥類では1対、哺乳(ほにゅう)類では気管の両側に対(つい)をなして付着している。これらの甲状腺の濾胞細胞は、チログロブリンというタンパク質を合成し、これを濾胞腔(こう)に貯蔵する。さらに、必要に応じてチログロブリンのチロシン残基をヨード化し、生じたヨードチロシン残基二つを縮合(カプリング)させ、それをふたたび濾胞細胞が取り込んで加水分解し、甲状腺ホルモンとして血液中に放出すると考えられている。
 一方、円口類のヤツメウナギの幼生であるアンモシーテスには、内柱(ないちゅう)(咽頭壁が陥入して、その導管が消化管に連絡している)とよばれる器官があり、これは変態に際して濾胞構造の甲状腺になる。内柱を形成する細胞のうち、ある種の細胞は、甲状腺がつくるチログロブリンに相当するタンパク質をつくり、内柱腔(こう)に分泌する。このタンパク質は細胞表面ないし内柱腔でヨードと結合し、内柱細胞に取り込まれ加水分解を受けて、甲状腺ホルモンとして血中に放出されるといわれている。また、内柱は原索動物のホヤやナメクジウオにもあり、ごく少量のチロキシンがつくられる。
 甲状腺ホルモンにはチロキシンとトリヨードチロニンとがあるが、前者より後者がはるかに生物学的活性が高い。たとえばオタマジャクシの変態を促進する作用は、前者は後者の10分の1である。甲状腺でつくられるホルモンは、一般にチロキシンのほうがトリヨードチロニンより割合が多い。チロキシンは種々の場所で脱ヨードされてトリヨードチロニンに変わることが知られており、甲状腺ホルモンの主たる作用はトリヨードチロニンによるものと考えられるようになった。[菊山 栄]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内の甲状腺の言及

【内分泌腺】より

…前葉という語は主葉のみを指すこともあり,中葉を含めることもある。脳下垂体(2)甲状腺 甲状腺はホヤの内柱と相同の器官といわれる。チロキシンとトリヨードチロニンを分泌する。…

※「甲状腺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

甲状腺の関連キーワード膵臓中胚葉内胚葉脳下垂体胚葉副甲状腺疣贅尿嚢間葉細胞じゅう(絨)毛

今日のキーワード

パラチオン、パラチオンメチル

パラチオンは無色で油状の液体、パラチオンメチルはコハク色の液体。ともに毒性が強く、有機リン系殺虫剤として使用された。50年代以降、稲の害虫被害を防ぐことが確認され、広く導入された。しかし、農民の中毒死...

続きを読む

コトバンク for iPhone

甲状腺の関連情報