鎌倉前期の肖像画。「吾妻鏡」によれば,1221年(承久3)後鳥羽上皇が隠岐島に流される際,落飾前の姿を似絵(にせえ)の名手藤原信実に描かせたことが記されており,信実の作品であることはほぼ確実とみられる。細線を引き重ねた顔貌表現が特徴。紙本着色。縦40.3cm,横30.6cm。水無瀬神宮蔵。国宝。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…鎌倉時代の画家,歌人。父は藤原隆信。初名を隆実といい,備後守,左京権大夫に任ぜられ正四位下に叙せられた。1248年(宝治2)ころ出家し寂西と号した。父の画才をうけおもに鎌倉時代肖像画の新分野である似絵(にせえ)の画家として名声を得た。後鳥羽院御幸あらましの図,四季絵,後堀河院の北面・下﨟・随身像など多くの作画記録があるが,後鳥羽院と似絵の愛好で知られる後堀河院の時代に集中する。確証を欠くが《中殿御会図巻》(模本現存),《後鳥羽天皇像》(水無瀬神宮),《随身庭騎絵巻》(大倉文化財団)の一部は信実筆と推定されている。…
※「後鳥羽上皇像」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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