水無瀬神宮（読み）ミナセジングウ

デジタル大辞泉

みなせ‐じんぐう【水無瀬神宮】

大阪府島本町にある神社。旧官幣大社。祭神は後鳥羽天皇・土御門天皇・順徳天皇。後鳥羽上皇の離宮であった水無瀬殿の地に建てられた御影堂が起源で、室町中期に水無瀬宮の神号を賜る。明治6年（1873）神社形式となった。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

みなせ‐じんぐう【水無瀬神宮】

1. 大阪府三島郡島本町広瀬にある神社。旧官幣大社。後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇の神霊を安置する。後鳥羽上皇の御影を安置した水無瀬御影堂（法華堂）の遺跡で、上皇が隠岐に移ったのち、重臣の水無瀬信成・親成父子が命を奉じてこの地を守った。例祭は一二月七日。水無瀬宮。水無瀬神社。

出典　精選版 日本国語大辞典

日本歴史地名大系

水無瀬神宮
みなせじんぐう

• 大阪府：三島郡
• 島本町
• 広瀬村
• 水無瀬神宮

[現在地名]島本町広瀬三丁目

水無瀬川下流右岸の平坦地に鎮座。淀川・水無瀬川の流路が変わる以前、この地は両河川の合流点に近い川岸で、正治元年（一一九九）頃、後鳥羽上皇によって建てられた離宮水無瀬殿があった。現在西に開く表門をくぐると、右手前方に拝殿・渡殿・本殿と東西に連なる社殿があり、その北に神饌所と客殿がある。本殿と客殿の間にある池の北東に茶室灯心（とうしん）亭がある。祭神は後鳥羽天皇・土御門天皇・順徳天皇。旧官幣大社。境内社に春日社・人麿社・稲荷社・星坂社などがある。

承久の乱で隠岐島に流された後鳥羽上皇は、延応元年（一二三九）二月二二日配流地で没したが、その直前の同月九日置文をしたため、摂津国水無瀬庄・同井内（いのうち）庄、出雲国加賀（かが）庄（現島根県八束郡）・同持田（もちだ）庄（現同県松江市）の知行と自分の菩提を弔うことを、上皇の側近であり離宮水無瀬殿を守っている水無瀬（藤原）信成・親成父子に遺告した（暦仁二年二月九日付「御手印置文」水無瀬神宮文書。以下同文書については個別文書名のみ記す）。この遺告によって水無瀬氏は離宮の地に屋敷を構え、邸内に御影堂を建て、代々上皇の菩提を弔うこととなった。これが当社の始まりで、以後明治に至るまで水無瀬御影堂とよばれてきた。この御影堂には御手印置文と、後鳥羽上皇の後宮修明門院藤原重子から寄せられた上皇の俗体と法体の二つの御影が祀られた。俗体像は配流前に藤原信実が描いた似絵であり、法体像は隠岐島で上皇自らが水鏡に映った姿を描いたものと伝える。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

改訂新版　世界大百科事典

水無瀬神宮 (みなせじんぐう)

大阪府三島郡島本町広瀬に鎮座。後鳥羽天皇，土御門天皇，順徳天皇をまつる。社地は後鳥羽上皇の離宮水無瀬殿の跡。後鳥羽上皇は承久の変により，隠岐へ移され，1239年（延応1）没したが，その14日前，水無瀬信成・親成父子に遺書置文を下し，菩提を弔うよう命じた。よって翌年この地に御影堂を建てたのが当社の草創で，以後奉斎し，後土御門天皇が1494年（明応3）水無瀬宮の神号を奉じた。しかし，なお仏式で追修されてきたが，1873年官幣中社とし，同じく承久の変で阿波に移された土御門天皇の神霊，佐渡に移された順徳天皇の神霊をむかえ合祀し，1939年3月後鳥羽天皇700年祭に官幣大社に昇格，水無瀬神宮と改称した。例祭12月7日。現在も水無瀬家が奉仕。
執筆者：鎌田 純一　境内には，後水尾天皇下賜と伝える客殿，茶室がある。客殿は床，棚，付書院のある上段をもつ主屋のほか2室，表と側面にめぐる広縁からなる入母屋造で，1600年（慶長5）の建築。茶室は三畳台目，炉台目切，水屋四畳および三方にめぐる入側よりなる。寄棟造，茅葺きで灯心亭と称し，江戸時代の建築。1239年の創建にかかわる後鳥羽天皇宸翰御手印置文のほか，藤原信実筆と伝える後鳥羽天皇像は国宝に指定されている。
執筆者：宮沢 智士

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

百科事典マイペディア

水無瀬神宮【みなせじんぐう】

大阪府島本町に鎮座。旧官幣大社。後鳥羽天皇・土御門天皇・順徳天皇をまつる。社地は後鳥羽天皇の離宮水無瀬殿の故地。その没後の1240年に御影(みえい)堂を建てたのに始まる。例祭は12月７日。後鳥羽天皇像などの国宝や重要文化財がある。
→関連項目島本［町］｜水無瀬三吟百韻

出典　株式会社平凡社

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

水無瀬神宮
みなせじんぐう

大阪府島本町広瀬に鎮座する元官幣大社。水無瀬宮ともいう。祭神は後鳥羽上皇，土御門上皇，順徳上皇。後鳥羽上皇の離宮に御影堂を建立したのが起源である。例祭 12月7日。国宝『後鳥羽天皇像』を伝える。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

デジタル大辞泉プラス

水無瀬神宮

大阪府三島郡島本町にある神社。後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇を祀る。後鳥羽上皇の死後、その離宮水無瀬殿跡に建立された御影堂が起源。客殿、茶室は国の重要文化財。境内の井戸水「離宮の水」は1985年の全国名水百選に選定されている。

出典　小学館

世界大百科事典（旧版）内の水無瀬神宮の言及

【水無瀬家】より

…江戸時代には羽林家（うりんけ）の一つとして，初め家禄550石，のち631石余を給され，有成が大納言に昇ったほかはだいたい中納言，参議にとどまった。忠輔の代に明治維新となり，1884年華族令の制定に際し子爵を授けられ，水無瀬神宮の宮司となった。支流として，七条，町尻，桜井，山井の諸家がある。…

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出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」