御曹子(読み)おんぞうし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「御曹子」の意味・わかりやすい解説

御曹子
おんぞうし

貴族や上流武家の子弟で、まだ独立せず親の邸内に部屋を占めて居住する者をいった。「御」は尊敬の意を添える接頭語。「曹子」は「曹司」であって、本来部屋の意である。江戸中期の有職故実(ゆうそくこじつ)書『貞丈雑記(ていじょうざっき)』に「御曹子と云(いう)はいまだ家督(かとく)にならぬ部屋住(へやずみ)の人を云」とある。軍記などには、平家公達(きんだち)に対して、源氏嫡流(ちゃくりゅう)の部屋住みの子息を称呼する例があり、とくに源義経(よしつね)をさす敬称として多く用いられる。現代では名門の子弟をいう。

[兼築信行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android