精選版 日本国語大辞典 「御覧らる」の意味・読み・例文・類語
ごらんぜ【御覧】 らる
- ( 「らる」は受身・尊敬などの助動詞 )
- ① 「らる」が受身の意で、「見られる」の「見る」動作主を敬うもの。敬うべき人に見られる。見られ申し上げる。
- (イ) ( 「ごらんず」が通常の「見る」の尊敬の場合 ) ごらんになっていただく。
- [初出の実例]「世になきさまに御らんぜらるとも、何ともおぼさじ」(出典:落窪物語(10C後)三)
- (ロ) ( 「ごらんず」が、特に「人を見る」の尊敬の場合 ) 会っていただく。
- [初出の実例]「ふとみゆきして御覧ぜん、御覧ぜられなん、と奏すれば」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- (ハ) ( 「ごらんず」が「世話をする」の尊敬の場合 ) お世話していただく。
- [初出の実例]「かうまでごらむぜられ、ありがたき御はぐくみにかくろへ侍りけるも、前の世の契りおろかならじ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
- (イ) ( 「ごらんず」が通常の「見る」の尊敬の場合 ) ごらんになっていただく。
- ② 「らる」が自発の意のもの。自然にごらんになられる。
- [初出の実例]「女君、顔はいと赤くにほひて、こぼるばかりの御愛敬にて、涙もこぼれぬるを、よろづの罪わすれて、あはれにらうたしと御覧ぜらる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
- ③ 「らる」が尊敬の意で、「ごらんぜらる」全体が「見る」の尊敬語として一語的に用いられるもの。ごらんになる。
- [初出の実例]「新院、〈略〉池の中納言頼盛卿の山庄、あら田まで御らんぜらる」(出典:平家物語(13C前)四)