復讐者の悲劇(読み)ふくしゅうしゃのひげき(その他表記)The Revenger's Tragedy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「復讐者の悲劇」の意味・わかりやすい解説

復讐者の悲劇
ふくしゅうしゃのひげき
The Revenger's Tragedy

イギリス劇作家 C.ターナー (T.ミドルトン作者説もある) の悲劇。 1606~07年頃ロンドンで初演。 07年刊。殺害された恋人復讐をはかる主人公を中心に,殺人,凌辱,裏切り,貪欲憎悪など人間の諸悪をえぐり出し,復讐される公爵一族の腐敗と復讐者の非情とを描く。ジェームズ朝の「流血悲劇」を代表する作品の一つ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の復讐者の悲劇の言及

【ターナー】より

…さらに殺人と亡霊の出現がそれに加わって典型的なセネカ風復讐劇を予想させるが,最後は悪党がみずからの振り上げた斧でみずからの頭を割るという神による復讐の形で終わっている。安直なモラル,生硬で誇張に富んだ文体,人為的な筋立てと生気に乏しい人物像などの欠点にもかかわらず,この作品に,最近まで彼の作とみなされてきた《復讐者の悲劇》(1606ごろ。T.ミドルトン作)に共通する生への否定的精神の表出を見取り,この劇をジェームズ朝悲劇の一つの代表作とする向きもある。…

【髑髏】より

…また,解剖学者ベサリウスの《人体の構造》にある,机上のどくろに触れて黙想する骸骨の絵は,シェークスピアに影響を与えて,ハムレットがどくろを手にして独白する場面の基になったとされる。さらに,《ハムレット》と同じころのS.ターナーの戯曲《復讐者の悲劇》は毒殺された恋人のどくろを使って犯人の公爵に復讐する物語で,死の象徴としてのどくろが主役である。そして,墓の彫刻や教会の絵画にどくろや骸骨を示すことをキリスト教が公認していたために,ルネサンス以後もどくろは死と人間の運命の象徴としてしだいに確立し,現代に至っている。…

※「復讐者の悲劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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