心理学と錬金術(読み)しんりがくとれんきんじゅつ(その他表記)Psychologie und Alchemie

改訂新版 世界大百科事典 「心理学と錬金術」の意味・わかりやすい解説

心理学と錬金術 (しんりがくとれんきんじゅつ)
Psychologie und Alchemie

スイス心理学者・精神科医ユングの代表的な著作の一つ。1944年刊。ユングは従来疑似科学的なものとして考えられていた錬金術象徴表現の中に,人間の心理の発展と並行する過程を見いだし,本書によってそれを証明しようとした。錬金術と宗教心理との関連を説く第1部,自己の象徴といわれる曼荼羅様の夢,宇宙時計の幻覚などを扱った第2部,錬金術における救済表象を論じた第3部よりなる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 秋山

世界大百科事典(旧版)内の心理学と錬金術の言及

【錬金術】より

…この面に尽力したR.フラッドやM.マイヤー,またJ.D.ミューリウスなどの著作には,美術的に興味ぶかい寓意図が掲載されている。C.G.ユングはこれらの錬金術文献を夢想と無意識的イメージの観点から分析し,大著《心理学と錬金術》を著し,金属変成の過程が魂の浄化,心理的発展の過程のメタファーであることを説いている。また黒から黄金へと進展する錬金術の色彩論は,すでに大聖堂のばら窓など宗教的装飾にも使用されていたが,〈光の形而上学〉や光学とも結びつき,色彩的象徴体系として独自の発展をみるに至った。…

※「心理学と錬金術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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