内科学 第10版 「心臓性肝硬変」の解説
心臓性肝硬変(特殊型肝硬変)
うっ血性心不全が長期間持続・反復したために中心静脈周囲の線維化が生じ,隣接する中心静脈間,中心静脈-門脈間に線維性架橋が起こり,小葉改築像,肝硬変像を呈したものである.基礎疾患としてはリウマチ性心疾患,収縮性心膜炎など右心不全を生じる疾患が多い.肝静脈圧の上昇と心拍出量の低下に基づく肝内酸素供給の低下が発生機序である.門脈性肝硬変に比べ,門脈圧亢進症の程度,肝障害度も軽度である.治療はうっ血性心不全の治療を第一に行うことで,心不全の改善に伴い肝硬変も改善する.その予後は心疾患に左右され,心臓性肝硬変が予後に影響することは少ない.[坂井田 功]
■文献
Sherlock S, Dooley J;小俣政男監訳:シャーロック肝臓病学.pp315-328, 西村書店,東京,2004.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報