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大動脈縮窄症 だいどうみゃくしゅくさくしょうcoarctation of the aorta

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大動脈縮窄症
だいどうみゃくしゅくさくしょう
coarctation of the aorta

先天性心疾患の5~10%を占め,男性に多い疾患。大動脈弓部末端の内腔に狭窄を生じる異常で,狭窄の部位が動脈管の前かうしろかで管前型と管後型に分れる。動脈管開存症心室中隔欠損症など,他の先天性心疾患を伴うことが多い。合併症のない患者では,上肢の血圧が下肢の血圧より高く,左心室肥大を示す。症状は動悸,息切れ,頭痛,鼻出血,下肢の疲労などで,多くの場合,30歳を過ぎてから現れる。したがって,小児期から 20歳代までに狭窄部を拡大する手術を行うことが望ましい。合併症のある患者では,上半身高血圧はなく,右心室の肥大と肺血流量の増加が認められ,乳児期うっ血性心不全,肺高血圧を呈する。予後不良で,早期の手術治療が必要である。

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家庭医学館の解説

だいどうみゃくしゅくさくしょう【大動脈縮窄症】

 動脈の本幹である大動脈の一部が細くなる病気です。
 原因は先天性のものと後天性のものとがあり、後天性の大部分は大動脈炎症候群(だいどうみゃくえんしょうこうぐん)(「大動脈炎症候群(高安動脈炎/脈なし病)」)によるものです。先天性の縮窄は、そのおこる部位がいつも決まっており、左鎖骨下動脈(さこつかどうみゃく)が分枝(ぶんし)する短い範囲に、細くなる部分がおこります。ここでは、大動脈の壁の一部が折れ曲がって内腔(ないくう)に突出し、内腔が狭くなっています。
 大動脈炎症候群は、大動脈のどの場所にもおこり、細くなる部分の場所や範囲もまちまちです。このため、先天性の縮窄に対し、異型大動脈縮窄症(いけいだいどうみゃくしゅくさくしょう)ともいわれます。
 いずれにしても、大動脈が途中で細くなって血流が障害されるため、その部位の手前(心臓側)の上半身は高血圧となり、部位の後ろの下半身では血圧が正常か低下し、手足の間に血圧差がみられることになります。また、細くなった血管部位を外から聴診すると雑音が聴こえます。通常、大動脈の枝(内胸動脈(ないきょうどうみゃく))が発達して細くなった血管の前後をバイパスし(迂回路(うかいろ)をつくり)、血流を補っています。
 上半身だけの高血圧といっても、ふつうの高血圧と同様、心臓に負担をかけることにかわりはなく、脳出血(のうしゅっけつ)をおこすこともあります。そのため、強い縮窄がある場合は、血行再建術(けっこうさいけんじゅつ)を行ないます。
 下半身の低血圧は、あまり症状がありませんが、高度になると下肢(かし)の倦怠感(けんたいかん)が歩行時にみられます。血行再建術を行なえば症状はなくなります。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大動脈縮窄症
だいどうみゃくしゅくさくしょう

大動脈峡部すなわち動脈管付着部付近で大動脈が先天的に狭くなっている疾患で、二次的に狭窄した大動脈狭窄とは区別される。男子には女子の2倍以上多くみられ、大動脈弁閉鎖不全と合併していることもある。重症の場合は生後1年以内に死亡するが、比較的軽症なものは自覚症状に乏しく、定期検診などで胸部の雑音や腕の脈が触れにくいこと、また上肢と下肢の血圧の差を指摘され発見されることが多く、予後はそれほど悪くない。上半身の血圧は高く下半身の血圧は低いことが多いので、自覚症状としては頭痛や歩行時の下肢の冷感などがあげられる。診断をはっきりさせるためには、左心カテーテル法によって狭窄部位上下での血圧の差を確認し、大動脈造影法で狭窄部位を診断する必要がある。放置すると、上半身の高血圧のため脳出血、解離性大動脈瘤(りゅう)、心不全などで40歳ころまでに死亡する危険が大きく、10歳代に手術するのが望ましい。[木村和文]

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世界大百科事典内の大動脈縮窄症の言及

【血管雑音】より

…前者では,頸動脈,大腿動脈,腸骨動脈などが好発部位で,大動脈で聴取されることもある。大動脈弓症候群では大動脈弓分岐部で,大動脈縮窄症では縮窄部に一致して収縮期雑音を聴くことが多い。また,上腸間膜動脈や腎動脈の狭窄(前者は腹部アンギーナ,後者は腎血管性高血圧症)などでは収縮期雑音が主症状の一つとされている。…

【先天性心疾患】より

…先天性心疾患による心不全は,新生児期,乳児期に起こりやすく,哺乳力不良,体重増加不良,不機嫌,多汗,呼吸が速く苦しそう,永く続く咳などの症状で現れる。生後最も早期に心不全を呈する疾患は,左室低形成症候群,完全大血管転位,大動脈縮窄症候群などで,生後数ヵ月以後になると心室中隔欠損などが多い。 先天性心疾患によるチアノーゼは,静脈血が動脈血に混じって全身の動脈を流れるために皮膚や粘膜が青紫色に見えるもので,口唇や手指,足のつめに現れやすい。…

※「大動脈縮窄症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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