内科学 第10版 「両大血管右室起始症」の解説
両大血管右室起始症(その他の先天性心疾患)
定義・頻度
大動脈肺動脈のいずれもが右室から起始する(片方が心室中隔にまたがる場合でもその50%以上が右室側に乗っている)状態と定義される.大血管相互の位置関係や心房-心室関係は多様である.心室中隔欠損と2つの大血管の位置関係で分類されるが,単純心室中隔欠損に近い大動脈弁下型から完全大血管転位症に近い肺動脈弁下型まで広いスペクトラムを有する.
発生機序
流出路が形成される際の円錐口左方移動が障害されたものと考えられる.したがって円錐中隔と心室中隔の連続性もまた損なわれるため,心室中隔欠損は必発である.
血行動態
大動脈弁下型では心室中隔欠損類似の,肺動脈弁下型では大血管転位症類似の血行動態を示す.
管理・治療
各病型に応じた治療となるが,肺動脈弁下型では左室-大動脈ルート作成もしくは左室-肺動脈ルート作成+大動脈位スイッチとなる.心室中隔欠損がどちらの大血管からも離れている遠隔型では単心室型修復(Fontan手術)の対象となる場合もある.[山田 修]
■文献
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出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報