心臓痛(読み)しんぞうつう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「心臓痛」の意味・わかりやすい解説

心臓痛
しんぞうつう

心臓の位置する左前胸部を中心とした痛みで、胸骨部や左肩甲骨部へ放散する痛みを伴う。心臓の器質的あるいは機能的異常に由来する。冠不全に基づく狭心症や心筋梗塞(こうそく)の発症時にその典型がみられる。この場合、心臓発作ともいわれる。しかし、心外膜疾患や心臓神経症のように神経性の異常感覚による場合もある。不安感、冷汗、悪心などを伴うことが多く、ときには疼痛(とうつう)による反射性血圧低下をきたすことさえある。

 なお、肋間(ろっかん)神経痛筋肉痛との鑑別が重要であるが、急性膵炎(すいえん)や消化性潰瘍(かいよう)などの消化器疾患でも心臓痛を主訴とすることもあるので、診断上注意する必要がある。

[井上通敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の心臓痛の言及

【胸痛】より

…胸の奥に存在する心臓,大血管,気管,気管支の病気で生じる痛みは,胸の比較的深いところから発するため,深部痛ともいう。そのなかで,とくに心臓から発生する痛みは,他の胸部の痛みと発生形態,治療が特異であるため,心臓痛cardiac painとして区別される。心臓痛で最も大切なものは狭心痛である。…

※「心臓痛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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