必要費(読み)ひつようひ

精選版 日本国語大辞典 「必要費」の意味・読み・例文・類語

ひつよう‐ひヒツエウ‥【必要費】

  1. 〘 名詞 〙 物を保存・管理するために必要な費用。〔仏和法律字彙(1886)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「必要費」の意味・わかりやすい解説

必要費 (ひつようひ)

他人の物を占有している者が,その物の現状を維持するために支出した費用。たとえば,借家人借家屋根から雨漏りするので瓦をふきかえるために支出した費用がこれに該当する。このような費用はその物を通常の利用に適する状態に保持するためのものであるから,元来はその物の所有者たる賃貸人が負担すべきものである。したがって,借家人が負担したことは一種の立替払いの性質を有し,賃貸人としてはただちにその費用を借家人に返還することを要する(必要費償還請求権。民法608条1項,196条1項)。有益費との差異は,物の現状維持に必要な費用か,それとも物の価値をたかめるための費用かという点にあり,このような性質に対応して,費用償還がただちに行われるべきか,それとも賃貸借終了時に行われるべきかという償還時期の差異が生じる。
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