他人の所有する家屋を賃料を支払って借りること、あるいはこのようにして借りた他人の家屋をいう。
[淡路剛久]
他人の家屋を借りるには、債権契約としての賃貸借契約(民法601条以下)を結ぶのが普通であるが、無償で他人の家屋を使用する契約(使用貸借)を結ぶこと(同法593条以下)も可能である。しかし後者は実際上まれであり、賃貸借契約がほとんどである。
[淡路剛久]
借家契約は、まれな使用貸借の場合を除き、民法の賃貸借契約に属する。そして、このようなものとしての借家契約が結ばれると、借家人は賃借権を取得することになるわけであるが、賃借権は債権であり、かつ、民法の賃貸借契約に関する規定は契約自由の原則のうえにたつために(事実上の強者たる家主が法的にも有利な地位を占める)、その法的保護は甚だ不十分なものであった。そこで、このような借家人の保護を図るため、1921年(大正10)借家法が制定された。その後、社会・経済事業の変化に応じて、借地、借家制度をより利用しやすい制度にすべきであるとの要請が高まり、1991年(平成3)に借地借家法が制定され、1992年8月1日から施行された。これにより借家法は廃止されたが、廃止前の借家法の規定により生じた効力を妨げないほか、新法施行前にされた借家については、一定の事項についてはなお旧法が適用されるものとされている。
[淡路剛久]
(1)借家権の存続期間と更新 借家権の存続期間について当事者が1年を超える期間を合意すれば、それはそのまま有効である。しかし、最長20年の期間制限を定めた民法の規定(604条)を借地借家法は排斥していないので、20年以上の存続期間を定めても、自動的に20年に短縮される。次に、当事者が1年未満の期間を合意した場合においては、それは期間の定めのないものとみなされる(借地借家法29条、あるいは借家法3条ノ2)。最後に、当事者が存続期間について合意しておかなかった場合(期間の定めのない場合)については、借地借家法には借地の場合(借地借家法3条、あるいは借地法2条1項)のような法定の存続期間の定めがない。そこで、当事者はいつでも解約の申入れをなしうることになる。しかし、この解約の申入れが認められて契約が解消されることになるかどうかは別問題であり、後述するごとく一定の制限(正当事由の存在)がある。なお、解約申入れ期間(解約を申し入れてから契約が終了するまでの期間)は、民法によれば3か月である(617条1項2号)が、借地借家法はこれを6か月としている(借地借家法27条、あるいは借家法3条1項)。
借家権の存続期間が満了したとき、民法によれば更新が強制されることはない。また期間の定めのない借家契約の場合には、当事者はいつでも解約の申入れをなすことができる(前述)。しかし、これでは借家人の不利益が甚だしい。そこで旧借家法は、正当事由がある場合でなければ、賃貸人(家主)は賃貸借の更新を拒み、または解約の申入れをなすことができない(借家法1条ノ2)、として借家人の保護を図り、この場合の正当事由の有無については、家主および借家人の双方の利益を比べて決せられるものとする判例が積み重ねられた。このような借家法の規定と判例の蓄積を踏まえて、借地借家法は、建物の賃貸人および賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況および建物の現況ならびに建物の賃貸人が賃借人に財産上の給付(いわゆる立退料)をする旨を申し出た場合のその申出を考慮して正当の事由があると認められる場合でなければ、賃貸人は、更新拒絶または解約の申入れをすることができない、と規定した(28条)。第1の建物を必要とする両当事者の事情が基本的要素であり、第2以下の事情は補充的要素と解されている。次に、当事者が賃貸借の期間を定めた場合において、当事者が期間満了前6か月ないし1年間に相手方に対して更新拒絶の通知、または条件を変更するのでなければ更新しない旨の通知をしないときには、期間満了の際従来の賃貸借と同一の条件をもってさらに契約をなしたものとみなされる(借地借家法26条1項、借家法2条1項)。また、前述の通知をした場合であっても、借家人が建物の利用を継続しているのに対して家主が遅滞なく異議を述べなければ、同じく契約は更新される(借地借家法26条2項、借家法2条2項)。
(2)借家権の対抗力 賃借権としての借家権は債権である。したがって、家主が好意で賃借権の登記をしてくれた場合は別として(民法605条参照)、家主に対して登記を請求する権利はない。だから、たとえばもし家主が賃貸家屋を第三者に譲渡してしまえば、借家人は自己の賃借権をこの第三者に対抗できないはずである。しかし、これでは借家人の不利益が甚だしい。そこで、旧借家法は、建物の引渡しを対抗要件として借家人の保護を図り(借家法1条1項)、借地借家法はこれを受け継いだ(31条1項)。これにより、建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあれば、それ以後その建物について物権(たとえば所有権)を取得した者に対し、その効力を生ずる。
(3)賃料と賃料増減請求権 賃料(家賃)をどの程度のものとするかは、当事者の合意によって定まる。家賃の支払い時期は当事者の合意によって定まるが、原則は後払いである(民法614条)。
家賃は、その額がいったん合意されると、そのままで続くのが原則である。しかし、借家契約は継続的契約であるので、時の経過とともに家賃はしばしば不適当なものとなる。そこで、旧借家法は家賃の増減請求権を認め(借家法7条1項本文)、借地借家法はこれを受け継いだ(32条1項)。すなわち、家賃が土地または建物の租税その他の負担の増減により、土地または建物の価格の高低その他の経済事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較して不相当になったときには、契約条件にかかわらず、当事者は将来に向かって家賃の増減を請求することができる。ただし、一定期間家賃を増加しない特約があるときには、それに従う(同但書)。なお、家賃の増減額について当事者間で協議が整わないときには、裁判が確定するまでは、相当と思われる額(たとえば、従来支払ってきた額)を支払えばよい。ただし、不足分はあとから年1割の利息を付して支払わなければならない(同32条2項・3項)。したがって、額が少ないことを理由として契約を解除されることはない。
なお、借家をするときには権利金および敷金をとられるのが普通である。権利金の性質はいろいろの場合があるが、とくに重要なのは、家賃の前払いとしての性質を有する場合、営業上の利益の対価として支払われる場合、賃借権の譲渡性を承認する場合などである。敷金は担保としての性質を有する。だから、契約終了後、借家人に残債務がないときには、敷金は返還してもらえることになる。
(4)賃貸人の修繕義務 家主は、賃貸家屋の使用および収益に必要な修繕(たとえば、壁や屋根の修繕など)をなす義務を負い(民法606条1項)、また、借家人は、家主が賃貸家屋の保存に必要な行為(たとえば、土台や屋根の修繕など)をなそうとするときには、これを拒むことができない(同2項)。
(5)借家権の譲渡・転貸 借家権には譲渡・転貸の自由が認められていない。すなわち、借家人は、家主の承諾がなければ、賃借権を譲渡または転貸することができず(民法612条1項)、もしこれに違反して第三者をして借家の使用・収益をなさしめると、家主に契約解除権が発生する(同2項)。ただし、たとえば親類を同居させたとか、学生を一時下宿させたとかいう程度では、契約解除事由としての無断転貸とはいえない。判例によれば、賃貸借関係の基本となる信頼関係を破壊するような程度の場合に、無断譲渡・転貸として契約解除権が発生するのである。
(6)造作買取請求権 借家契約が終了した場合、借家人は家主に対して造作の買取りを請求することができる(借地借家法33条、借家法5条)。ただし買取請求の対象となる造作は、家主の同意を得て建物に付加した畳・建具その他の造作であることが必要である。また、買取りの値段は時価である。この造作買取請求権は、旧借家法と違って、借地借家法では任意規定となっている(借家契約で契約終了の場合に家主が買い取らないと定めることができる)。なお、造作買取請求権は、借家人の債務不履行で契約が解除された場合には発生しない、と解されている。
(7)事実上の配偶者または養親子の賃貸借の継承 借家人がたとえば内縁の妻と同居中死亡した場合、内縁の妻には相続権がないから、その者は借家を明け渡さなければならなくなる。これでは内縁の妻の不利益が甚だしい。そこで、これらの者の保護が図られている。すなわち、借家人の事実上の配偶者(例、内縁の妻)または養親子は、借家人と同居中、借家人が相続人なくして死亡した場合には、この者の権利義務を承継しうる(これらの同居者が1か月内に賃貸人に反対の意見を表示したときにはこの限りでない)(借地借家法36条、借家法7条ノ2)。
(8)定期建物賃貸借 借地借家法は、契約が更新されない建物賃貸借として二つの場合を定めている。一つは、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」(通称「定期借家法」)により、借地借家法38条が改正されて導入された定期借家である。すなわち、期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書によるなど書面によって契約をするときに限って、契約の更新がないこととする旨を定めることができる(借地借家法38条1項)。このような定期借家契約を結ぼうとするときは、賃貸人はあらかじめ賃借人に対して、期間の満了のときに契約の更新はなく賃貸借は終了することを、書面を交付して説明しなければならず(同2項)、説明しなかったときは契約の更新がないこととする旨の定めは無効とされる(同3項)。もう一つは、取壊し予定の建物の賃貸借である。すなわち、法令または契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合には、建物を取り壊すべき事由を記載した書面により、建物を取り壊すこととなるときに賃貸借が終了する旨を定めることができる(借地借家法39条1項、2項)。
(9)一時使用の特例 借地借家法の借家に関する規定は、特例として、一時使用のため借家契約をなしたことが明らかである場合には、適用されない(借地借家法40条、借家法8条)。
[淡路剛久]
『広中俊雄編『新版注釈民法(15)別冊』(1993・有斐閣)』▽『内田勝一ほか著『借地・借家の裁判例』(1996・有斐閣)』▽『沢野順彦ほか編『借地借家法の理論と実務』(1997・有斐閣)』▽『阿部泰隆著『定期借家権』(1998・信山社出版)』▽『稲葉威雄著『新/借地借家法講座』1~3巻(1998、99・日本評論社)』▽『平田厚著『定期借家法の解説と法律実務』(1999・ぎょうせい)』
建物を賃料を支払って貸借することをいい,〈しゃっか〉とも読む。借家関係を規律する法律として借家法(〈しゃっかほう〉とも〈しゃくやほう〉とも読む。1921公布)があったが1991年に借地借家法に統合された。民法は,借家を,借地,小作などといっしょに賃貸借として規定したが(民法601~622条),その後賃借人の保護の必要が唱えられ,1921年借地法と並んで借家法が制定され,41年,66年の改正を経たあと,91年に借地法と統合され,借地借家法となった。借地法と同じく当初は東京市,大阪市などにのみ適用されたが,1941年から全国に適用されるようになった。以下では,借地借家法のうち借家に関する部分の概要をみていく。
借地借家法が適用されるのは,建物1軒の貸借に限らない。建物の一部(貸間),ビルのフロア,アパートの一室,さらに店舗にも適用される。居住用に限らず,商業用でもよい。
借家(賃貸人からいえば貸家)の所有者が交代した場合,新たな家主は,賃貸借を承継するかという問題を,借家権の対抗力という。民法は,借家権を不動産登記法により登記してあれば,新たな家主に賃貸借契約を主張(対抗)できるが,登記がなければ,新旧家主間の売買により賃貸借は破られるとしていた(605条)。しかし,借地権について建物保護法(借地借家法10条)により対抗力が与えられたのに呼応して,旧借家法は,借家が賃借人に引き渡されていれば,借家権に対抗力があるとした(借地借家法31条)。
契約期間について,民法は,最長期間を20年とするだけで,短期については制限を設けなかった(604条)。借家法は,1年未満の契約は期間の定めのないものとみなす旨規定するにとどまった(3条の2,現借地借家法29条)。借地のように家屋を建てるわけではないから,契約の更新が保障されるかぎり,借地のような長期間の保障は必要とされないからである。なお借家契約は,期間を定めなくてもよいとされ,この場合には解約申入れにより契約を終了させることになる。通常,借家契約は2~3年とされることが多いが,借家人が契約の更新を望むかぎり,更新されることが望ましい。1921年の借家法は,期間の定めのない場合の解約申入れを6ヵ月前(民法によると3ヵ月前)としたが,更新については規定を設けなかった。そのため,賃貸人のつごうで,簡単に明渡しをしなければならなかった。1941年の借家法の改正により,賃貸人の解約申入れにも,更新拒絶にも,いわゆる正当事由が必要とされることになり家主からの明渡請求は制限された。もっとも,当初は賃貸人みずからが使用する必要がある場合は当然のこととして,その他の正当事由があれば解約申入れ,更新拒絶ができるとされた。しかし,第2次大戦時から敗戦後の極度の住宅難により,自己使用であれば当然明渡しが認められるという考え方が修正され,当該借家についての賃貸人側の事情と現に居住している賃借人側の事情を比較衡量して,明渡しが認められるかどうかを判断するという考え方が,裁判上とられるようになった。こうした両当事者の具体的事情の比較ということになったため,正当事由の有無をめぐる訴訟が裁判所に山積し,これは昭和20年代から30年代前の民事訴訟の中でもっとも多いものとなった。裁判所の一般的な傾向としては,現に居住している賃借人を保護する結果になるものが多かった。家主みずから戦災で家を焼かれ,住む場所がないが,借家人も明渡しを迫られても住む場所がないといった場合が少なくなかった。そのため,家主側で代りの住居を提供したり斡旋したり,さらには立退料を提供して明け渡してもらうといったことが行われるようになった。裁判例でも,立退料の支払と引換えに建物の明渡しを命ずるものがある。91年の借地借家法はこうした状況をとり入れ,財産上の給付の申出を正当事由判断の一つとした(28条)。
家賃は,両当事者にとっての大きな関心事であるが,法律上は当事者の合意で定められるべきものとされている。戦時中から戦後にかけて,地代とともに家賃統制が行われたことがあり,わずかながら統制令の適用がなされてきたが(地代家賃統制令),1986年末で廃止・失効した。家賃統制をすべしという意見もあるが,家賃額はきわめて種々のファクターにより定まるもので,統制額を定めるのには困難な点が多いため,行われていない。ただ,家賃の改定にあたっては賃貸人の主張どおりの増額が認められるか否かが,明治以来争いになり,旧借家法では,租税,土地・建物価格の高低,比隣の家賃に比較して不相当になったときは,当事者は将来に向かって賃料の改正を請求できるとする規定を設けた(7条,借地借家法32条)。これにより,家主は賃借人の承諾がなくても値上げができることになったが,家主の値上げがそのまま認められるというわけではなく,あくまでも相当な額に限られている。
賃貸借終了の際,賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した畳,建具その他の造作がある場合,賃借人は,これらを賃貸人に対し,時価で買い取るよう請求することができる(借地借家法33条)。造作とされているのは,畳,建具(障子,ふすま,雨戸)のほか,電灯施設,引込工事,水道設備,物干し台,商店の陳列棚,である。
なお,賃貸借契約が,賃借人の賃料不払その他の不履行により解除された場合には,造作買取請求権はないとするのが判例である。
賃借人が死亡した場合,賃借権は財産権として相続人に相続される。賃借建物に賃借人とともに居住していた者が相続人でない場合(内縁の妻,事実上の養子等)の賃借権の問題がある。賃借権の相続ということからいえば,相続権のない居住者は居住できないことになるが,相続人でない居住者に居住を認めるとすれば,いかなる権利に基づくかは数こそ多くはないが,裁判上いくつか争われ,裁判所は居住者に居住を認めるようになった。争いは家主が相続人でない居住者を相手とするものが多かったことにもよるが,いわゆる居住権的なものを認めたものとされる。そして借家法は,1966年の改正でこうした判例の考え方を前提として,賃借人が相続人なくして死亡したが,内縁の妻または事実上の養子のような同居者があるときは,その者が賃借人の権利義務を承継するという規定を設けたのである(7条の2,借地借家法36条)。
借地借家法は,借家人の権利をきわめて強く保護するものであるが,悪い住宅事情を考えればやむをえないともいえる。借地借家法は,法律に定める条件を賃借人に不利益に変更する契約条項は無効であるとして(6条),法律による保護を契約によってくぐることをおさえている。したがって,賃貸人の必要な場合はいつでも明け渡すとか,契約期間を更新しないといった特約は無効である。しかし,借家法に規定のない事項については特約を設けることができるため,賃料支払を1回でも怠ればただちに契約は解除されるといった条項も設けうることになるが,これに対しても,あまりに賃借人に不利益なものは有効でないとする裁判例もある。
なお,借地借家法は,一時使用であることが明白な場合には適用されない(40条)。一時使用といいうるためには,単に一時的使用というだけでは足りず,性質上一時使用であることが明白でなければならないとされている。
近時住宅事情が,多少とも緩和されてきたのに伴い,借家人の厚すぎる保護をゆるめるべきだという意見も出てきている。確かに,〈借家人を追い出す〉ことはもはや法律上不可能になったとさえ思われたが裁判上は必ずしもそうではなかった。いったん借りれば明渡しをする必要はないと考えて,かたくなに明渡しを拒むケースがあったにしろ,やはり,借家人の保護のもつ積極面をみのがすことはできない。近時の判例は,賃借人の保護をややゆるめてきているといわれる。借地借家法そのものの存在意義は否定できないとしても,賃貸人と賃借人の関係の適切な調整は必要とされているといえるであろう。なお,借地に対応して借家についても更新のない定期借家権をつくることにより借家の供給を確保すべしという考え方が強くなっている。
執筆者:山田 卓生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報
…日本近世の被支配諸身分のもので,家屋敷を所持せず,他人の所持する家屋敷を賃借し,住居として用益する状態の戸主をいう。類語に借家(屋)(かしや∥しやくや)があり,ほぼ同義ともみられるが,本源的には,家屋敷の全部を賃借するものを借家といい,家屋敷の部分を賃借するものを店借と呼んだと考えられる。借家・店借は,地借と同様に,本来はそれ自体固有の身分・階層ではなく,百姓・町人・諸職人などの被支配諸身分のものが一時的におかれている地位・状態である。…
…建物を賃料を支払って貸借することをいい,〈しゃっか〉とも読む。借家関係を規律する法律として借家法(〈しゃっかほう〉とも〈しゃくやほう〉とも読む。1921公布)があったが1991年に借地借家法に統合された。…
…借地契約以外では20年が最長である。ただし借家契約についても最低1年という規定がある(旧借家法3条ノ2,借地借家法29条)。なお借地・借家とも,一時使用の場合についての規定がある(借地借家法25条,40条)。…
…これに対して,自分は他所に住み,家屋敷を有する者を家主,敷地のみを有する者を地主という。また,家屋敷の全部または一部を借りて居住する者を借家・店借(たながり),敷地を借りて家屋は自分で有する者を地借とよぶ。家屋敷の敷地部分は,田畑と同じように高請(たかうけ)地とされ,年貢や高にもとづく諸役(高役)が賦課される場合(在方に多い)と,高請地とされないか,または高請地となっても年貢や高役の両方か高役のみが免除される場合(町方に多い)とがある。…
…江戸時代に江戸・大坂などの大都市の町人居住地で,表通りに面していない路地裏に建てられた小商人・職人・日雇いなど下層庶民の借家住居のこと。多くは長屋建てであったので裏長屋とも呼ばれる。…
…律令制下における中央官衙,国郡,駅家,寺院などに設けられた公的な収蔵施設の総称。形状による分類では,高倉,長倉(横倉),円倉,双倉(ならびぐら),屋,倉下,倉代などがあり,側壁の構造や材質による分類では,校倉(あぜくら)とみられる甲倉や格倉,丸木倉,板倉,塗壁屋,土倉などがあげられる。諸国の正倉のほとんどは穀物倉であったが,収納物によって不動穀倉,動穀倉,穎稲倉,糒倉,粟倉などと分類される。そのほか中心的な役割を担った大型の法倉と称される倉や,正倉に準じて利用された借倉,借屋と呼ばれるものもある。…
…江戸時代,江戸や大坂で住人の約70%と推定される店借が,借家する場合に必要な保証をすること。店請人は親類縁者とか同郷の出身者などが多く,家持だけでなく店借がなる場合もあった。…
…日本近世の被支配諸身分のもので,家屋敷を所持せず,他人の所持する家屋敷を賃借し,住居として用益する状態の戸主をいう。類語に借家(屋)(かしや∥しやくや)があり,ほぼ同義ともみられるが,本源的には,家屋敷の全部を賃借するものを借家といい,家屋敷の部分を賃借するものを店借と呼んだと考えられる。借家・店借は,地借と同様に,本来はそれ自体固有の身分・階層ではなく,百姓・町人・諸職人などの被支配諸身分のものが一時的におかれている地位・状態である。…
…中近世の従属身分に属する農民。鎌倉時代から史料に見える。1300年(正安2)の鎮西下知状に,薩摩国谷山郡の百姓弥平太入道の名子次郎太郎が,谷山郡の地頭のために馬2頭,銭1貫文を責め取られたことが見えているが,これがもっとも古い史料である。名子の史料は数少ないが,畿内,中国,九州,北陸,陸奥の各地に散見し,ほぼ全国的に存在したことが確かである。名子は妻子,眷属,脇の者,下人(げにん)などと並び称されており,主人の家の内部の存在で,その家父長的支配に属すべきものとされていた。…
※「借家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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