忌避物質(読み)きひぶっしつ(英語表記)repellent

翻訳|repellent

改訂新版 世界大百科事典 「忌避物質」の意味・わかりやすい解説

忌避物質 (きひぶっしつ)
repellent

生物体がつくる物質のうち,動物の摂食行動や産卵行動を抑制する働きをもつもの。特に昆虫の産卵場所の選択,食物選択において,その物質が含まれる生物を避けるように作用する物質を指して使われることが多い。昆虫は,成虫期の産卵場所の選択と,幼生期の発育のための食物選択において,特定の寄主を正しく選ぶ必要がある。成虫がある一定の寄主を選んで産卵することを保証されている機構として,寄主に含まれる産卵刺激物質(誘引物質)があるが,さらに寄主以外の植物,昆虫に含まれる忌避物質が産卵行動を阻害することによっていっそう強化されている。同様に,食物選択についても昆虫が一定の植物を食べ,ある種の植物を決して食べないのは,前者には摂食刺激物質が,後者には摂食阻害物質(忌避物質)が含有されていることによる。この性質害虫防除に応用したのが忌避剤である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の忌避物質の言及

【カイロモン】より

…一方,ある種の生物がつくった物質が他の種の生物に触れた場合,接した生物に生理的もしくは行動的な反応をひきおこして,物質をつくった生物に有益な効果を及ぼすことがあり,このような物質をアロモンallomoneという。忌避物質・抑制物質・毒物などはアロモンとみなすことができる。生物種間の相関に何らかの物質が関与することは多く,それらの物質はこの定義のいずれかに属することになるが,カイロモンとしてもアロモンとしてもはたらく物質も多い。…

※「忌避物質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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